感想・レビュー
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nobi
47
「カミーユあるいは緑衣の女」のタフタ織りのスカートの見事な質感、「ザーンダム」の水面の燦めき、30歳前後で見せたその高みから、モネはさらに苦行僧の如く一生描き続ける。生活は屢々困窮し画商やゾラの助けを得ながら。温かい光景が多いイメージあったが、エトルタでは高波で全身ずぶ濡れになりイタリアでは熱射病に倒れながら時に「苛酷な状況にいどんだ」。晩年の作品にはどこかただならぬ気配を感じる。30歳台で描かれたロンドンの霧の中の国会議事堂は幻想的でこの上なく美しい。60歳台での霧を貫く燭光に浮かぶ国会議事堂は来世的。2023/08/05