内容説明
現代に泥み、ある意味ではそれに冒されているものの眼には、“俗神”はふしぎな世界である。一見それは昭和のはじめごろの風俗写真を思わせる。ページの間から、ふと半世紀前にはやった歌謡曲が聞こえてくるような錯覚におそわれる。だが、“俗神”はまぎれもなく、現代が共時的に共有している、生活の深層である。カメラは日本列島を縦断しながら、世界の文明の先端を享受しているわたしたちの心の深みにはいりこみ、風俗写真と見える手法を借りて、わたしたちの内面をあからさまに引きずりだす。それは現代の断面ではなく、基層である。わたしたちの日常性の表皮を一枚めくると現れてくる、現代の民俗である。
著者等紹介
土田ヒロミ[ツチダヒロミ]
1939福井県生まれ。1963福井大学工学部卒。1971~96東京綜合写真専門学校教職。2000大阪芸術大学教授。1971太陽賞受賞。1978伊奈信男賞受賞。1984日本写真協会賞受賞
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感想・レビュー
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おおにし
7
この写真集、前から表紙の写真の雰囲気に惹かれるものをありましたが、先日県立図書館でようやくお目にかかることができました。1970年前後の日本各地で撮られた写真はどれも怪しげで猥雑な感じが一杯で、見てはいけないものを見てしまったようなインパクトがあります。これはお薦め。図書館で見かけたら是非ご覧ください。2013/05/04
保山ひャン
1
俗神、すなわち、人間、ということで、まるで根本敬さんの漫画にでも出てきそうなスケベなじじいたちや、土着的な信仰、宗教的な聖地での写真など。60年代後半から、70年代にかけての土にまみれたモノクローム写真がいや~な迫力でせまってくる。2015/04/24
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