出版社内容情報
ドイツの田舎町。生徒達は町の「700年祭」に町の近代史の展示会を企画。その過程で町のあちこちにナチスの痕跡が。市長や校長は展示会を妨害しようと。でも校長は。自国の負の歴史に向き合う人々。
著者等紹介
ペライ,ハンス=ユルゲン[ペライ,ハンスユルゲン] [Perrey,Hans‐J¨urgen]
1951年、西ドイツ、ハンブルク生まれ。大学で、歴史学とドイツ文学を専攻し、ソ連とドイツの近代経済史を研究。ハンブルク近郊のギムナジウムで歴史を教えるかたわら、児童文学の執筆に意欲を燃やし、『過去への扉をあけろ』を手がけた
酒寄進一[サカヨリシンイチ]
1958年茨城県生まれ。上智大学、ケルン大学、ミュンスター大学に学び、現在、和光大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュシュ
20
友人にすすめられて。ずっと平和だと思っていた自分の住んでいる町にも実はホロコーストの歴史があり、ギムナジウムの9年生が町の行事で展示する。調査すると、昔のことを話してくれる人もいれば、妨害があったりインタビューしても口を閉ざす人がいたり…。戦争が個人に落とす影は、それぞれ全く違うのだということを改めて感じた。生徒たちを妨害する教頭先生もただの嫌な奴ではなく、苦しみを抱えた人だった。朽木祥さんの『光のうつしえ』の中の「よく知ってると思うことでもほんとうは知らないことが多い」という言葉を思い出した。2015/10/22
かっぱ
6
西ドイツの小さな町。街の700年を祝っての祝賀行事にあわせて、ギムナジウムの9年生達は、1933年から1945年までの街の歴史を調べ始める。そこでわかったとこは、町の隠したい事実だった。誰が正しく誰が正しくないかは簡単には決められない。単純な過去の批判に陥らないフラットな物語賀魅力的。2015/10/10
裕由
4
童話館から届いたもの。戦争体験記ではなく未体験者である学生が街の歴史をたどりながら、真実・実態を見極めようとする真剣な姿が心地よく、対比して、これら事実を隠そうとする大人たちの姿も人間らしく描かれていて、最後は爽快な感動を覚える。2020/04/10
みなみ
4
学校の課題で戦争体験の聞き語りがあったのを思い出した。発行された当時はまだ戦争体験をされた方が多くご存命だった頃。日本と同じように(?)過去を突き止めようとすると邪魔が入る。展示を見に来た老人の「おまえたちになにがわかる」という叫びが印象的。いわゆる「過去の過ち」を大上段から糾弾するのではないのが良かった。新任の先生のキャラクターがけっこう立っていて、重いテーマ一本槍では無く、そこに居る人々が生き生きしている。2017/08/21
光
4
すごい!心を揺さぶられました。ドイツの北部の小さな町。街の700年祭 9年B組の皆は第二次世界対戦のころの町の様子を展示することに。ナチス政権が樹立してからの暗黒の時代。生徒達は、くもりのない目で、過去にあったこと、真実を見つけていきます。埋もれていた真実が、どんどん表に出てきます。。それをよく思わない権力を持つ側からの妨害。日本でもあるなぁ…怒りが込み上げてきました。だけど、ラストのエピソードは私にとっては衝撃。少しばかり放心状態に。いろいろ考えさせられました。この本に出会えて良かった。2014/07/29




