内容説明
一九六七年発行のさ・え・ら書房刊「うたの心に生きた人々」を四分割した一冊。
目次
1 高村光雲のむすこ
2 パリでの人間開眼
3 父との対立
4 『智恵子抄』の背景
5 日本人の「典型」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
彩
7
好きなんですよね、智恵子抄。狂ってもなおそんな妻を美しいと思う光太郎と、愛しさを募らせる智恵子。少し前に高村光太郎展に行って光太郎の彫刻も智恵子の切り絵も見ていたので、じんわり思い出しました(*´Д`)ふたりとも芸術にひたむきで、だからこそ智恵子にはそれが毒だったのか…本当のことはわからないけれど。でもこの二人の姿を私はどこか崇高なものだと思っているのです(*´ω`*)ちなみに私は智恵子抄の中で、『案内』が一番好きです(*´∀`*)本棚から智恵子抄を引っ張り出すこと必須の1冊でした(*´Д`)2014/06/14
ぱせり
5
「自分のなかにうごめいている表現欲を、「詩」と「彫刻」にすっきり分離してやろう」ほかのものも、すっきり分離できないものも、なんとか分離して整理しようとしたんじゃないかな。そのようにしかできなかった(中途半端でいられなかった、すっきり分離するしかなかった)人の人生を痛ましく思ってしまう。2022/05/15
ののはな
5
近くのミュージアムショップ併設の書店棚で逢った本。茨木さんの描く高村光太郎・智恵子とはどんなふうだろうと。思いがけず小学生にも読める大きめ活字で易しい語り口だった。智恵子抄で有名になった彼らが本当はどんな夫婦だったのか、という興味本位でめくり始めたのだけれど、思いがけず情愛滲む読後だった。『智恵子抄』を習う頃に併せてぜひ読みたい1冊。文体に詩の鋭利さはないけれど、まなざしは確かと思わせる。小難しくなく賛美し過ぎていないのも佳い。2011/07/10
貧家ピー
3
生まれから、欧米留学時代の葛藤、「智恵子抄」、太平洋戦争前後の価値観の変遷など、高村光太郎の生涯を描く。「智恵子抄」が好きな割には、高村光太郎についてあまり知らないことに気付かされた。 家制度に対抗し、独立した個人と個人としての長沼智恵子との共同生活に乗り出す決意が「道程」だったなど。 2016/01/20
のむ
2
高村光太郎といえば『智恵子抄』。そういうムードがきらいだった。まるでロックアーティストがたまたま出したバラードが大ヒットを記録して、それが彼の代表作にされてしまったような心持ちでいた。高村光太郎の詩論を探せど「智恵子」「智恵子」、うんざりしていた。しかしこの本を読んでそういったわだかまりが和らいだ。智恵子は間違いなく高村光太郎にとってのエポックだった。シンボルだった。とはいえ、この本を読んだからこそ、やはり高村光太郎と『智恵子抄』を即イコールで結ぶのはいやなわけだが。2017/10/13