内容説明
建治二年(1276)四月二十二日、太刀一腰が山深い日光中禅寺権現に納まった。寂静明美な湖の畔で、ひとり佐野安房兵衛次郎氏綱は、何を想い、何を願っていたのか。一介の武将は、幸せであったのか、不遇であったのか。名刀『鶴丸』のみが知る。下野佐野一族の興亡、鎌倉の世に生きた坂東の武士たち。強かに、逞しく、そして美しく咲いた安蘇の女たち。悲喜に彩られた姿が、いま甦る。
建治二年(1276)四月二十二日、太刀一腰が山深い日光中禅寺権現に納まった。寂静明美な湖の畔で、ひとり佐野安房兵衛次郎氏綱は、何を想い、何を願っていたのか。一介の武将は、幸せであったのか、不遇であったのか。名刀『鶴丸』のみが知る。下野佐野一族の興亡、鎌倉の世に生きた坂東の武士たち。強かに、逞しく、そして美しく咲いた安蘇の女たち。悲喜に彩られた姿が、いま甦る。