内容説明
“永遠のエンターテインメント作家”橘外男名作コレクション。摩訶不思議、多彩な作品世界への招待シリーズ第4弾。忘れ得ぬ苦い話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
戦前の直木賞作家が見た、大戦前後の「満洲国」ルポルタージュ。日米開戦直前の満洲でブイブイ言わしていた日本人が、敗戦後は一転地獄絵図に叩きこまれる、僅か数年での物凄い落差が圧巻。特に敗戦後の新京では、開拓団とは又違った地獄が出現していたのだった。ソ連兵や中国人による暴行、略奪、虐殺。妻を暴行されて発狂する夫、全裸で街をさ迷っている日本人女性、そんな風景が日常化していたらしい。そんな中、筆者が深い付き合いをした外国人が専ら白系ロシア人だったというのも、色々示唆に富んでいる人間関係だと思う。2012/05/19