内容説明
ボストン在住、24歳、プログラマーのぼくは、これまでのさえない人生の元を取るかのように、ツキに恵まれはじめた。同僚のエバンと手を組んだソフト開発が有望視されたのだ。エバンはマサチューセッツ工科大学をスキップした天才だが、IQの低い人間を見下している問題児だ。ぼくは会社に個室を用意してもらい、将来の地位と収入を約束され、才色兼備の恋人もでき、おまけにたまたま賭けたドッグ・レースで大勝ちまでした。だがソフト開発の雲行きがあやしくなりはじめた。記録的な猛暑がつづくある日、ぼくを勝たせてくれた思い出の犬ココと再会する。かわいそうなことに、ココは借金のかたに引退させられていたのだ。天才的なレース犬の不遇の姿と自分をかさねたぼくは、軽い気持ちでココを連れ帰ってしまったが…。軟弱だけれど痛快なデジタル世代のニューノベル。