内容説明
瞑い光、眼に彩な影。それは、色彩なのか虚無なのか?眼のゆらぎ、想念のうつろいが紡ぎ出すヴィジュアルと言葉の森を渉猟し、芸術、光学、人種、宗教、政治、産業、ファッションを軸に論じる、宙と世界を包む色ならぬ色の精神史。カラー64点を含む図版109点!
目次
第1章 最古の色
第2章 古典古代の黒
第3章 神の黒
第4章 社会における黒―アラビアとヨーロッパ
第5章 二人の黒い芸術家
第6章 メランコリー、あるいは黒い胆汁
第7章 奴隷であること、また黒人であること
第8章 啓蒙主義における黒
第9章 イギリスの黒い世紀
第10章 私たちの色は?
著者等紹介
ハーヴェイ,ジョン[ハーヴェイ,ジョン] [Harvey,John]
ケンブリッジ大学英文科・視覚文化学科上級講師、同大エマニュエル・カレッジ名誉フェロー、作家
富岡由美[トミオカユミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆずこまめ
2
日用品やファッション、絵画、建築などの物から黒人への人種差別まで幅広い内容。 一冊本を書かせる黒の魅力に脱帽。2020/12/23
yo_c1973111
1
そそられるタイトルでした。時代変遷と黒が如何に扱われてきたかを探求する要旨で、アート、叙事詩、歌劇、宗教着などを基に図版とともに例示されます。メランコリーが黒胆汁という仮想の体内物質を語源にもつなど興味深い点がいくつもありました。ただ、叙事詩、歌劇などは恣意的に取捨選択でき得るし一般性があるのか、またモノクロ写真の評価はカラー写真の技術的未発達、アート的評価の時代性なども加味されるべきで、著者指摘に限るものではないとも感じました。2024/10/10
takao
0
ふむ2017/12/05
K
0
黒という概念や黒で表現される事象の意味を、文学、絵画、宗教、ファッション、エスニシティ等々様々な文化的媒体の事例を大量に挙げて概説している本。黒髪に黒服というスタイルが大好きなわたしはつい手に取った。思索の掘り下げ度はそこまで深くない印象もあるが、なにしろ古今東西のあらゆる「黒」表現を網羅しようという心意気すら感じられる守備範囲の広さと博識ぶりにあっぱれ。2015/02/14
の
0
色の女王「黒」についての考察。全てを飲み込む性質故に恐れ敬いの対象とされてきた黒色。古代では死のイメージから宗教関係に多く、宗教家が教授となった中世には洗練された色として持て囃され、産業革命以降の近代ではアスファルトや石炭といった新工業製品の影響で全身黒の装いがブームとなり、現代ではゴシックや極端な思想のモチーフとなり人気となる。衣服に限らず、イスラム教や黒人への異端な眼差しもこうした時代の流れに基づいて形成されている。面白いのは東洋では逆に「白」がこの役割を担ってること。2014/08/27