内容説明
解剖学の名著が「解剖」された。28歳の執筆者と24歳の画家…もえる希望と野心をないまぜに駆け抜けた近代医学の青春期。
目次
第1章 執筆者―ベルグレイヴィアのグレイ氏
第2章 画家―スカーバラの医師カーター
第3章 出版社―ウェスト・ストランド、J.W.パーカー&サン
第4章 企画―発案と肉づけ
第5章 素材―ロンドンの身寄りなき貧者たち
第6章 制作―一八五六~一八五七年
第7章 造本―一八五七~一八五八年
第8章 出版―一八五八年、そして…
第9章 悲哀―一八六〇~一八六一年
第10章 その後―一八六一年以降
著者等紹介
リチャードソン,ルース[リチャードソン,ルース][Richardson,Ruth]
歴史家、作家、キャスター。ハートフォードシア大学、ケンブリッジ大学研究員。“The Making of Mr. Gray’s Anatomy”は、2009年、医学ジャーナリスト協会(MJA)の公開投票図書賞(‘Open Book’Award)を受賞した
矢野真千子[ヤノマチコ]
翻訳家。兵庫県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
63
1858年に英国で初版が出た『グレイ解剖学』。現在は解剖図もカラフルになってエルゼビアから版を重ねて刊行されている。解剖学を学んだことがある人なら、この本を知らないという人はいない。だが、この教科書に名前を冠した解剖学者で外科医のヘンリー・グレイの名は知っていても、解剖図を描いた内科医で画家のヘンリー・ヴァンダイク・カーターのことを知る人はどれだけいるだろうか? 1856年から57年にかけての18か月間、病院の遺体安置所と救貧院の霊安室から貧者の死体が定期的に配達され、グレイとカーターは360点を超える挿2017/03/10
彩也
3
『グレイ解剖学』は1858年の初版以来、未だに改訂版が発行され続けている解剖学の定番書である。米ドラマ『グレイズ・アナトミー』の題はここから来ている。本書は、そのメイキング。面白いのは、執筆者・画家の単なる伝記ではなく、造本、出版、果ては(解剖の)素材となった遺体にまで焦点を当てていること。そして、ヴィクトリア時代の社会背景が浮き彫りになっていることである。出身・階級・貧富による差が、同じ病院の医師である執筆者グレイと画家カーターにまで影響を及ぼしている。資料の少なさゆえの推測の多さが、少し気になる。2012/03/10
メルセ・ひすい
3
14-31 赤22 19世紀ロンドンの歴史奇談。死体を盗む…日常的に横行していた基督様への冒瀆では。でもマジで解剖学の学術書なんです。お読みになる方は精神の超安定した方に限ります(*_*) オゾマシイに、免疫の有る読書家。…本当ですよあなたのお身体はこんなふうになってんです2人の青年の合作による「グレイの解剖学」。…大英帝国・大博覧会からアルバート王子死去までの1850年代に焦点をあて、「グレイの解剖学」初版発行の立案段階から書評が出る頃までを眺める。。 (☆。☆) 2010/12/15
Hor
2
“実用本位そのままという簡潔さは、それそのものが一つの美の形なのである” -P3092014/02/07