出版社内容情報
移動手段が今ほど発達していなかった古代、驚くほど遠くで発生した古代文明同士に不思議な類似性があるのは何故か? そして、遠く離れた地域であればあるほど、かえって強い類似性があるのはどうしてなのか? 本書では、古代文明に見られるそれぞれの文化要素や、それらの要素がいくつか組み合わさって独自の複合文化を形成したいくつかの事例を通し、ある特定の構造があることを突き止めた。
内容説明
ピラミッドと前方後円墳、ゾロアスター教と神道など、古代文明にみられる複合的な文化要素が、はるかに距離を隔てた地域でしばしば一致しているのはなぜだろうか。本書はJ・G・フレイザーの『金枝篇』さながら、神話・伝説・物語・学説を博捜し、多くの例証を挙げて論じている。たとえば、私たち日本人になじみ深い正月の松飾りや盂蘭盆の習わしがペルシアの神話・文化に由来すること、古代ギリシアや中国などの春節祭礼の背景等々が明かされてゆく。古今の文物に共通してみられる表象から、境界、再生、供犠、象徴、聖性といったテーマと文化の伝播の構図を浮かび上がらせる試みである。
目次
第1部 始原への回帰(神々に捧げる食卓;祖先柱考;泥土、屍灰、生命の水;太陽光線を受けて孕む話)
第2部 蛙信仰の民俗学(蛙神事の源流)
第3部 かたちをめぐる話(モンゴル人のゲルの構造;三角表象の話;線刻彩画礫と絵馬)
第4部 飛鳥のペルシア人(飛鳥のペルシア人;イラン文化の日本への流入;文化の伝播;オリエントとは何か)
著者等紹介
井本英一[イモトエイイチ]
1930年生まれ。京都大学文学部卒業。大阪外国語大学教授、桃山学院大学教授を歴任。大阪外国語大学名誉教授。民俗学や人類学、比較文化史に関する著訳書がある。ペルシア語・ペルシア文化を専門とする。奈良市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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