内容説明
部族に根ざした基盤もなく、信仰に則した原則もなく、自然の国境すらもなく、もっぱら人工的で「粗野な理性国家」としてのみ存続しえた国家プロイセンの波瀾にみちた物語。
目次
第1章 成立にいたる長い日々
第2章 粗野な理性国家
第3章 小さな大国
第4章 大きな試練
第5章 三羽の黒鷲
第6章 プロイセンの帝国創設
第7章 死にいたる長い日々
著者等紹介
川口由紀子[カワグチユキコ]
共立女子大学文芸学部英文科卒業。1968~72年、1993~99年、ドイツに滞在。デュッセルドルフ大学聴講生。辞書パソコン点訳会のメンバーとして『独和辞典』(都文堂、1991年第1版第5刷)を共同点訳
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感想・レビュー
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Nat
23
図書館本。何とか読み終えたけど、難しかった。世界史ではよく目にしたプロイセン。でも、いつのまにやらなくなってしまって、どんな国なのかよくわからなかったので、興味をもちました。でもやはりわかったようでよくわからない。ビスマルクについてと何故プロイセンがなくなったのかは少しわかりましたが、勉強不足を痛感しました。2020/11/03
Saiid al-Halawi
9
ホーエンツォレルンの傍系によって伸張したプロイセン王国≒往時のチュートン騎士団領は、目下凋落しつつあったHREの隙をついて大きくなっていっただけなので、後の世の統一されたドイツ国家を射程に入れていたわけではない。著者が『ヒトラーとは何か』の人だと読み終えてから知った。2013/09/29
marty@もぶおん学
8
プロイセン王国の興亡をまとめた一冊。「伝説からの解放」というタイトルどおり、プロイセンはドイツ統一という使命に邁進したわけではなく、その時々で置かれた情勢の中で自己保全のために行動してきたことが強調される。ビスマルクによるドイツ帝国の建国も、あくまでプロイセンの国益の最大化が目的であったのだが、皮肉にも帝国創設がプロイセンの消滅を決定づけてしまった。プロイセンは軍隊を重視し国家理性に従い戦争も辞さなかったのは事実であるが、宗教や民族面では寛容であり、ヒトラーの第三帝国とは無関係とするのも本書の特徴である。2024/05/02
ならのみやこ
5
ゆっくり読みたかったのだが、図書館で借りている本なので、一気読み。最初からナポレオンとの戦いくらいまでが個人的にすごく面白かった。反対にそれ以降は集中力が切れたのか、流し読み。今まではプロイセン=チンピラな国というイメージしか持てなかったけれど、それはあくまできっと外国から見たイメージ。本書は作者目線から見てしまうからか、前半はフランスが後半はドイツがすごく嫌な国に見えてしまい、その視線によって見方の変わるところが面白かった。2013/07/23
なつき
5
どうしてこんなに読んでて面白いんだ。作者のツンデレな文章がたまりません。どんだけ大王のことが好きなんですかって感じるのは私だけですか?これはもう買います。今からアマゾンでポチってきます。2011/07/23