内容説明
グローバル化の波が世界を覆い、あらゆる近現代システムが変容を余儀なくされている今日、西洋的近代の重要な柱であった従来の国民教育制度もまた、大きな転換を迫られている。この転換を有効に展開する方向を見定めるため、近代教育の誕生から現在までを、うちに孕んだ葛藤とその解消の歴史として読み解き、西洋近代教育が含み持つ可能性に多角的に迫りつつ、その理念と機能を地球大に拓くことをめざす労作。
目次
第1章 近代教育:葛藤の小史―祖国を追われたコメニュウスの悲運から教育の国際基準化の波まで
第2章 教育システムの機能―規律化と有用化を超えて
第3章 公教育と宗教―オランダ:多元的であることの合意
第4章 成人教育のゆくえ―スウェーデン:公共性をめぐる緊張関係
第5章 環境教育の挑戦―英国:近代の産物を問う思想
第6章 転換期の教師―東ドイツ地域:周辺化された教育実践
第7章 構築される「教育問題」―マレーシア:多民族国家の隘路
第8章 グローバル化のもとでの国民教育制度の構築―コーカサス:国民教育づくりの実験場
第9章 「知のヨーロッパ」という新しい神話―ボローニャ・プロセスを考察する
第10章 教育再生の道筋―“一人称”の克服は可能か
著者等紹介
関啓子[セキケイコ]
一橋大学大学院社会学研究科教授・博士(社会学)。専門は、教育思想史、比較教育学、環境教育学。エスニシティ、エコロジー、ジェンダーをキー・ワードに人間形成を研究してきた。研究対象は主に旧ソ連圏である
太田美幸[オオタミユキ]
鳥取大学生涯教育総合センター講師・博士(社会学)。研究テーマは成人教育(成人学習)を通じた政治文化の形成過程分析。スウェーデンにおける「学習サークル・デモクラシー」の実態と構造に関する調査をすすめている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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