内容説明
個人を国家共同体の成員として政治的・文化的に社会化することは、近代学校教育の主要な目的の一つである。戦後台湾の教育には、この個人の「国民化」が極めて端的に現れている。中華民国を中国全土の唯一正統な国家とする国是に基づく従来の「中国」化教育から、最近の台湾の主体性を顕著に示す「本土化」教育まで、歴史の変遷を反映した戦後台湾教育を、公民教育を中心に精細に分析・考察し、近代教育の一特性を明確に浮彫りにした労作。
目次
序章 本書の研究視角
第1章 本書の分析枠組み
第2章 九年国民教育政策と国定教科書制度の成立
第3章 権威主義体制下における公民教育の「中国」化
第4章 民主化・自由化時代の教育改革と公民教育
第5章 台湾における教育の「本土化」と「国家認同」
終章 台湾教育の課題と展望―変化と不変の政治社会学
著者等紹介
山崎直也[ヤマザキナオヤ]
1975年東京都生まれ。国際教養大学国際教養学部助教。1997年東京外国語大学外国語学部中国語学科卒業。2006年同大学院博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。国際教養大学国際教養学部助手、講師を経て、2008年より現職。専門は、比較・国際教育学、台湾研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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