内容説明
記憶の奥深く、ある核心的なイメージが眠っている。忘却の底に沈み、容易に捉えられないこうした内的風景を「純粋記憶」と呼び、具体的な色、匂い、音などが記憶や心を呼び覚ます情景を描き、自らにとって本質的な記憶の定着を試み続けた福永の営みを、感覚と精神との交響を説いたボードレールの「万物照応」の理論に照らし、初期から晩年の福永作品に即して具体的、精細に跡づけた本書は、ユニークな作家論であると共に、比較文学の優れた労作である。
目次
序章 問題の所在
第1章 追憶の主題―幼年喪失から憧憬そして形象へ
第2章 モティーフの誕生―『独身者』における「純粋な記憶」をめぐって
第3章 小説「冥府」における「幼年」―「暗黒意識」から「純粋記憶」へ
第4章 想像力あるいは記憶の創造―『忘却の河』における記憶観の転換
第5章 失われた記憶の小説『幼年』―「純粋記憶」と「万物照応」
第6章 深く生きられた「現在」―『死の島』における二四時間
著者等紹介
西岡亜紀[ニシオカアキ]
1973年、広島県生まれ。1996年お茶の水女子大学文教育学部外国文学科仏語仏文専攻卒業。1998年同大学大学院修士課程人文科学研究科日本言語文化専攻修了。2007年同大学大学院博士後期課程人間文化研究科比較文化学専攻修了。博士(人文科学、2006年度)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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