内容説明
日本はじめ現在の先進諸国では、見かけ上の「豊かさ」とは裏腹に、成因を異にする多様な階層格差が深刻な社会問題群を生み出している。これらの格差と問題群に対し、経済的利害に傾斜した従来の階級論が説明能力を失っていることは既に明らかだ。変化する階層構造のなか個人はいかにして他者とむすびつくのか?またそうした集合性はどのように社会的威力を発揮しうるのか?マルクスとヴェーバーの物象化概念の裡に、これまで見落とされていた集団形成の論理を辿り、現代社会学の欠落に挑む力作。
目次
イントロダクション―階級論のパラドクス
第1部 マルクス階級論における集団形成と「物象化」(初期マルクスの階級把握と唯物論のプロブレマティーク;後期マルクスの社会理論と階級形成―労働価値説をめぐる転位とアポリア;マルクス派社会理論と社会学的インプリケーション)
第2部 ヴェーバー社会学と階層的集団形成(ヴェーバー社会学の方法論と意味解釈;「社会学の基礎概念」における社会関係と意味連関の実体化=物象化;「地位」概念と「階級」・「支配」―集団形成の重層的メカニズム ほか)
第3部 階層的集団形成・集合行為と物象化(集合行為と階層的集団形成―集団カテゴリーの物象性=象徴性をめぐって;階層的集団形成と象徴化/物象化―M.Douglasの「けがれ」と象徴作用をめぐって;物象的意味連関と集団形成 ほか)
著者等紹介
丹辺宣彦[ニベノブヒコ]
1960年生まれ。1990年東京大学大学院博士課程満期退学。東京大学文学部助手、名古屋大学文学部講師、助教授を経て、名古屋大学大学院環境学研究科(社会学講座)助教授(現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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