内容説明
神の言葉か、成功の礎か―「人格」をめぐる相克の歴史。普遍的な善と愛をめざす道徳的人格の陶冶から、個人の業績と成功を指向する機能的人格の開発へ―近代アメリカ教育におけるこの人格形成概念の変容過程を、一次史料に基づき精細に跡づけた労作。日本の学力偏重教育に露骨に見られるように、市場経済の進展のなか、今や学校は世俗的成功のための過酷な競争の場と化しつつある。充実した歴史研究であるとともに、こうした現代教育に対する根源からの批判の書。
目次
序章 人格形成という教育概念の由来―先行研究と構成
第1章 ヴァーチュの習慣形成―成功という幸福
第2章 人間をささえる道徳的センス―人格形成概念の萌芽
第3章 人格形成という教育概念の登場―近代的統治論と道徳的センス
第4章 コモンスクール論の人格形成概念―業績と共通性
第5章 業績にとり込まれる人格概念―喪われる神性
終章 機能性指向と人格形成概念―要約と含意
著者等紹介
田中智志[タナカサトシ]
山梨学院大学大学院教授、教育社会学・教育思想史。1958年、山口県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得退学。駒澤大学、東京学芸大学をへて現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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