内容説明
マサチューセッツ州初代教育長マンが、州の教育費削減案に抗し、教育の価値を金銭に換算して見せた時、新たな功利主義的教育観が誕生した。教育による労働者の資質・収入の向上、それに伴う一国の富の増進と階級闘争解消の効果等、教育の経済的生産性を公共性向上の裏づけに置くマンの教育観は、その後の米国教育思想のみならず、アメリカン・ドリームの原点とも言えよう。教育の公共性が問われる今、その思想の全貌と今日的意義を一次資料を通じ分析・考察した労作。
目次
第1章 コモン・スクール(公立小学校)の歴史的背景(コモン・スクールの概念;マサチューセッツ州の教育伝統と遺産;アメリカ独立と国民教育制度案の輩出)
第2章 公教育思想を支える民主主義、資本主義およびプロテスタンティズム(工業化と公教育の成立問題;マンの登場と教育改革;教育の経済的生産性論)
第3章 義務就学の社会的基盤(社会秩序と公教育;義務就学の社会的要請)
終章 マンの公教育思想にたいする歴史的評価
著者等紹介
久保義三[クボヨシゾウ]
1927年生まれ。東京文理科大学教育学科卒業、同大学特別研究生修了。武蔵野美術大学名誉教授
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