出版社内容情報
『図書新聞』2010.11.6書評より
20世紀後半にイギリスで隆盛したニューレフト史学において,エドワード・トムスン『イングランド労働者階級の形成』とならぶ記念碑的作品として知られた本書が,ついに邦訳された。・・・略・・・本書はそのタイトルが示すとおり,従来の労働史研究の基盤となった階級論に基づくのではなく,階級という「言語」を俎上に載せた先駆的な研究である。冒頭に置かれた「日本語版への序文」は,1983年の刊行から20年以上を経た時点で書かれたものだが,言語論的転回を踏まえた彼の史学史的な展望が含まれており,興味深い。刊行から時間を経て,本書はさらに古典的価値を高めたといっていいだろう。原著と翻訳のタイムラグが,本書を史学史の激動のなかに位置づけることをより可能にした。・・・略・・・言語をとおして歴史研究と政治分析を重ねた本書の魅力が,そこには遺憾なく発揮されている。 評者:米田綱路
『社会経済史学』77-2 2011年8月書評より
イギリス労働史・社会史の名著、待望の邦訳である。原著の刊行から四半世紀余りが経過し、遅きに失した感はあるものの、力量豊かな訳者の手による解題とともに、この名著に触れる機会が多くの読者に開かれたことを喜びたい。ただし、本書を読む際には、時間的なギャップを常に意識しておく必要がある。著者自身が延べるように、1974~82年に世に出た論考の集成である本書は「論文の日付に注意して読まねばならない」のに加えて、原著刊行後に生じた「アプローチの方向性の変化」も無視できないためである。本書から浮かびあがるのは、方法論的多元主義者としての著者に他ならない。著者の到達点を知っておくために、「日本語版への序文」は必読である。・・・以下略・・・ 評者:小関 隆
目次
序論
第1章 階級闘争と産業革命
第2章 階級表現か社会統制か?―「余暇」の社会史をめぐる研究批判
第3章 チャーティズム再考
第4章 ロンドンにおける労働者階級の文化と政治、一八七〇~一九〇〇年―労働者階級の再形成に関する覚書
第5章 なぜ労働党は混乱しているのか?
著者等紹介
ジョーンズ,G.ステッドマン[ジョーンズ,G.ステッドマン][Jones,Gareth Stedman]
1942年生まれ。オクスフォード大学卒、博士(D.Phil.)。現在、ケンブリッジ大学キングス学寮フェロー。専門は、イギリス労働史・社会史ならびに社会主義思想史
長谷川貴彦[ハセガワタカヒコ]
1963年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、北海道大学教員。専門は、近代イギリス史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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