出版社内容情報
(2006年9月11日、朝日新聞書評より)
「非白人種族攻略の構図はイラクまで」
著者はアメリカ植民地時代を長く研究し、ピューリタン女性の自伝『インディアンに囚われた白人女性の物語』の翻訳でも知られる歴史学者。そんな彼女が現代アメリカ史に本格的に取り組み、その成果を第一著書として放ったのだから、はじめはいささか意外な印象を免れなかった。しかし、目次を見て当初の当惑は絶大な期待に変る。(中略)
だが本書最大の醍醐味は、そうした「汚い戦争」がさらに、植民地時代より連綿と織り紡がれた構図にすぎないことを、豊富なデータで傍証している点にある。ベトナム戦争のはじまりを問うことでアメリカという国家のはじまりを浮き彫りにしてしまう本書の洞察は深く、その射程は多くのことを考えさせる。
(2006年9月4日、しんぶん赤旗書評より)
「正義」「神」「民主主義」の国の正体
(前略)
それにしてもアメリカはベトナム戦争で散々懲りたはずなのになぜ、他国に民主主義を〝輸出〟し続けようとするのか。本書はこの疑問に見事に答えてくれる。アメリカの植民地時代における先住民研究を長く続けてきた著者は、ベトナム戦争を「インディアン虐殺」の延長線上に位置づけ、異教徒や異人種に次々と「正義の戦争」を仕掛けてきた「米国版帝国主義」の実態を明らかにする。
(中略)
「正義の国」「神の国」「民主主義の国」アメリカの正体を知りたいという人にお勧めしたい。
内容説明
ベトナム戦争を「インディアン虐殺」の延長線上に位置づけた著者は、さらにベトナム戦没者記念碑黒い「壁」と、それを訪れる人々の姿の中に、民衆の平和への希求、アメリカの歴史の新しい可能性を見る。「植民地時代の先住民研究」を長く続けてきた著者だからこその視点である…。
目次
序章 戦争の起源―「一九四五年」へのこだわり
第1章 三〇年戦争のはじまり―ベトナム民族の独立からジュネーブ協定まで
第2章 虚構の上の虚構―トンキン湾事件と戦争のアメリカ化
第3章 アメリカ史のなかのベトナム戦争
第4章 帰還兵たち
第5章 ベトナム戦没者記念碑とアメリカ社会
終章 「ベトナム」の記憶
著者等紹介
白井洋子[シライヨウコ]
1947年埼玉県に生まれる。日本女子大学文学部卒業。米国ペンシルベニア大学大学院博士課程修了(歴史・Ph.D.)。東京国際大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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