出版社内容情報
『明治大学広報』2006.4.1号より
本書は,イギリス市民革命史の碩学,浜林正夫一橋大学名誉教授の傘寿を祝して刊行された書物である。その特色は,あくまで西洋の歴史を対象としながらも,西洋世界と非西洋世界を両者の立場から相互に見つめなおす視座を採用したということだ。全体の構成は,エスニック・アイデンティティ,歴史の中の自然,社会運動の3部,15章から成る。本書で適される社会運動は,阻害状況の打破・克服を求める人々が,自らの日常空間を拠点にして連体し,集合的にアイデンティティを構築する新しい型の社会運動であり人種・エスニシティや自然環境保護に関わる運動と重なる。―中略―
西洋史の入門書としても優れている本書は,人と人,人と自然の共生への導きの糸を与える書物に仕上がっている。
目次
第1部 エスニック・アイデンティティをめぐって(『ロビンソン・クルーソー』を読む;見えない黒人を探して―十七・十八世紀の『ロンドン・ガゼッタ』の埋め草から;クリスマス・ツリーを飾るユダヤ人―近代ドイツ・ユダヤ人の文化変容をめぐって;黒い旋盤工―フランスにおける北アフリカ系労働者の社会的上昇;在英シク教徒の祭りと「記憶」―「バイサキ」と「カールサ」誕生の物語)
第2部 歴史のなかの自然(経済学における自然認識―イギリス古典派経済学を中心に;イギリス料理はなぜまずくなったか―イギリス食文化衰退の社会経済史的研究;ウィリアム・モリスとエコロジー運動;ナショナル・トラストと自然保護活動―持続可能な地域社会を求めて)
第3部 社会運動の諸相(M.ヴェーバー『倫理』テーゼの再考;ピューリタンとは何か―研究視角の再検討;「暗黒の地」への福音宣教―ウェールズとピューリタン革命;明るく、賢く、若々しく―「人気の指導者」にみる労働者クラブという集団;アイルランド系アメリカ人とアイルランドの独立)
著者等紹介
佐藤清隆[サトウキヨタカ]
1952年生まれ。1974年明治大学文学部卒業、現在、明治大学文学部教授
中島俊克[ナカジマトシカツ]
1953年生まれ、1977年一橋大学経済学部卒業、現在、立教大学経済学部教授
安川隆司[ヤスカワリュウジ]
1959年生まれ、1984年一橋大学社会学部卒業、現在、東京経済大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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