内容説明
近年わが国の学界では、かつて一九世紀のヨーロッパで提起されて以来、多くの学問分野の拠り所とされてきた理論の有効性が改めて議論されている。本書は、このような大きな学問的潮流の一環である。本書は、とくにその「大理論」の根底にあるヨーロッパ中心主義的性格とそのアジアへのまなざしとを問題にしている。本書は、ヨーロッパ中心史観が生みだした「遅れたアジア」というまなざしを伴った「近代歴史学」という「科学」が持つイデオロギー性と歴史性を明らかにすることを目的としている。
目次
第1部 植民地政策と歴史学研究―戦前の日本における朝鮮史研究(「満鮮史」研究と稲葉岩吉(寺内威太郎)
コロニアリズムと近代歴史学―植民地統治下の朝鮮史編修と古蹟調査を中心に(李成市))
第2部 植民地における歴史認識(トルコにおける「公定歴史学」の成立―「トルコ史テーゼ」分析の一視角(永田雄三))
第3部 博物館学からみた植民地主義(植民地と博物館(矢島国雄))
著者等紹介
寺内威太郎[テラウチイタロウ]
1948年東京に生れる。明治大学大学院文学研究科博士後期課程退学。朝鮮近世史・近世朝中関係史専攻。現在、明治大学文学部教授
永田雄三[ナガタユウゾウ]
1939年東京に生れる。イスタンブル大学大学院文学研究科博士課程修了(Ph.D.)。オスマン帝国史専攻。現在、明治大学文学部教授
矢島国雄[ヤジマクニオ]
1948年横浜に生れる。明治大学大学院文学研究科修士課程修了。博物館学・先史考古学専攻。現在、明治大学文学部教授
李成市[リソンシ]
1952年名古屋に生れる。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。東アジア史、朝鮮古代史専攻。現在、早稲田大学文学部教授
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ゆきんこ