出版社内容情報
『世界日報』2002年11月4日 書評より
舞台はデンマークの湿地帯。そこには,市民にとって貴重なエネルギー源が眠っている。「かまどやストーブの燃料にする泥炭」となるからだ。ところが,時として泥炭堀りの最中に,とんでもない発見をする。遺体である。殺人事件かといえば,そうではないことが少なくない。・・・略・・・さて,邦訳だが,デンマーク語という日本にはなじみの薄い言語に取り組んだ二人の訳者の努力は並々ならないものがあったに違いない。・・・略・・・デンマーク以外の例にも言及しながら,古代のモード,衣類,貧富の差などについて推測している。さらには土葬と火葬の歴史にも触れており,人間にしかない「埋葬」という儀式がどのように始まったのであろうかと,古代に思いをはせるきっかけを与えてくれる。 (評者:岩田均)
『読売新聞』2002年12月1日 短評より
50年前,デンマークの湿地帯,泥炭層の中から,甦りそうなほど保存のよい古代人の遺体が発見された。デンマークを代表する考古学者である著者は,民衆の生命と運命を支配する神々の犠牲(いけにえ)として湿地に埋められた2000年前の鉄器時代人と認定,北欧古代史の謎を解いている。眠れる者のような多数の写真の生々しさには驚く。
『朝日新聞』2002年12月1日 書評より
北欧に散在する泥炭地は近隣住民の貴重な燃料供給源となっている。そこで何度も掘り当てられたのが,二千年も前の人間の死体である。湿地の水分と独特な成分が,驚くほど生々しい遺体の保存を可能にした。この「湿地人」研究の第一人者である著者は,死体の発掘状況,損傷状態や「ゲルマニア」などの古典書の記述から,湿地は人身御供が行われた聖地だったことを解明する。最新の科学,歴史学,考古学の諸成果を駆使し,先史ゲルマン人の生活や風習が次々に明らかにされ,この学問分野の魅力を存分に伝えてくれる。・・・中略・・・中高生も読める平易な文と豊富でリアルな写真は一般読者をも引き付けてやまない。 (評者:塩崎 智)
内容説明
50年前、デンマークの湿地帯で発見されたなまなましい遺体…!今にも甦りそうな古代人の遺体をめぐる“謎”を解明する北欧先史・古代史の基本図書。
目次
トーロン人
グラウベール人
デンマークの湿地遺体
デンマーク以外の湿地遺体
日常の生活
死の到来
著者等紹介
荒川明久[アラカワアキヒサ]
1952年生まれ。早稲田大学第一法学部卒業。1976~79年コペンハーゲン大学歴史学研究所留学。1989年早稲田大学文学部大学院博士課程修了。1984年より(社)国際農業者交流協会(旧・国際農友会)デンマーク語講師。北欧ヴァイキング史・中世史専攻
牧野正憲[マキノマサノリ]
1947年生まれ。大阪外国語大学デンマーク語学科卒業。1976~77年コペンハーゲン大学歴史学研究所留学。1983年関西学院大学文学部大学院博士課程修了。現在、大阪外国語大学、近畿大学、京都光華女子大学短期大学部、関西学院大学、三重大学、神戸国際大学、花園大学、京都造形芸術大学非常勤講師。北欧中世史専攻
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感想・レビュー
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takao
すけきよ
しんぷぅ
土のかたまり
じゅんこ可汗