出版社内容情報
「読売新聞」2007.5.4より、評者:片岡正人
『記者ノート』網野善彦がごだわり続けた男
「あれは網野さんの絶筆ですよ」。国民的人気を誇った歴史家の網野善彦(2004年2月死去)と親交の深かった編集者に、そう紹介されたのは、刀水書房『20世紀の歴史家たち(5)日本編 続』(昨年12月刊)に掲載された評伝「清水三男」だった。・・・・・(略)・・・・・ 網野は最晩年、清水のことばかり口にしていたという。なぜ、それほどまでにこだわったのか。評論家の久保隆氏は「図書新聞」3月10日号で、この評伝を取り上げ、〈網野が語る清水三男像は、自身の自画像のようなものだ〉と記している。評伝によれば、清水は〈マルクス主義の影響下にあって観念的・公式的であった自らの生き方・学問と明確に訣別し、新たに全力をあげて史料を自分の目で読み、村落生活の実態に深く分け入って・・・個性的な研究を結実させた〉。なるほど、観念的左翼だった学生時代の論文を自己否定して、実証主義に徹した網野自身と相似形だ。・・・・(略)・・・・・
脱稿後5年余、死後3年近くを経て発表されたこの評伝は、まさに網野の魂の叫びであり、絶筆の名に値するのではないか。
ついに第5巻「日本編続」完成!
第5巻 日本編続 歴史家配列は生年順 ( )内は執筆者
狩野直喜(戸川芳郎)・桑原隲蔵(礪波 護)・矢野仁一(狹間直樹)・加藤 繁(尾形 勇)・中村孝也(中田易直)・
宮地直一(西垣晴次)・和辻哲郎(樺山紘一)・一志茂樹(古川貞雄)・田中惣五郎(本間恂一)・西岡虎之助
(西垣晴次)・岡 正雄(大林太良)・羽仁五郎(斉藤孝)・服部之總(大濱徹也)・坂本太郎(笹山晴生)・前嶋信次
(窪寺紘一)・中村吉治(岩本由輝)・竹内理三(樋口州男)・清水三男(網野善彦)・江口朴郎 (木畑洋一)・
林屋辰三郎(今谷 明)
巻末に収録歴史家114人の一覧がつきます。
「戦争と革命の間に生きる」
内容説明
歴史家は20世紀をどう生きたか?歴史学は如何に展開したか?20世紀の歴史学の形成に巨大な貢献を果たした歴史家114人の列伝全5巻完成。
目次
狩野直喜(一八六八~一九四七)
桑原隲蔵(一八七一~一九三一)
矢野仁一(一八七二~一九七〇)
加藤繁(一八八〇~一九四六)
中村孝也(一八八五~一九七〇)
宮地直一(一八八六~一九四九)
和辻哲郎(一八八九~一九六〇)
一志茂樹(一八九三~一九八五)
田中惣五郎(一八九四~一九六一)
西岡虎之助(一八九五~一九七〇)〔ほか〕
著者等紹介
今谷明[イマタニアキラ]
1942年生れ。国際日本文化研究センター兼総合研究大学院大学教授
大濱徹也[オオハマテツヤ]
1937年生れ。北海学園大学教授
尾形勇[オガタイサム]
1938年生れ。立正大学文学部教授
樺山紘一[カバヤマコウイチ]
1941年生れ。印刷博物館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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