出版社内容情報
かつて世界の火薬庫といわれ,現在もエスニック紛争に明け暮れるバルカンを,異民族支配への抵抗と失敗する農民蜂起の連続ととらえる。現代は,過去の紛争の延長としてあり,一朝にして解決するようなものではない
内容説明
バルカン近代を農民一揆と民族解放闘争ととらえ、現在の泥沼のような粉争をこの地域の、非政治的、家父長的、宗教上保守的な歴史的後進性によるとする実証的で大局観に立つ類例のない東南ヨーロッパ近代史。
目次
序論 ナショナリズムと革命、または侵略と後進
第1章 パクス・オットマニカと神聖戦争―ミハイ勇敢公の反乱
第2章 17世紀の革命運動―その内的基盤と外的影響
第3章 18世紀の革命運動
第4章 19世紀初頭の革命
第5章 革命運動と近代国家の形成(1830~78年) バルカンの革命―アドリアノープル条約からクリミア戦争まで
第6章 革命と戦争の時代―1878~1914年まで
終章 ボリシュヴィキ革命とバルカンの革命
感想・レビュー
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印度 洋一郎
4
「近代史」というか、オスマン帝国の支配下にあったバルカン地域の民族の自治独立運動の経緯を16世紀から20世紀初頭まで概観した本。この地域は、西欧や東欧と異なり、オスマン統治下で民族や国民意識の形成が遅れていたが、近代に入り、オスマン側の統治が腐敗してくると民族の自治独立への動きが盛んになる。そこにロシアやオーストリア、イギリスなどの外部勢力が様々な思惑で介入。自分達の都合で各民族を支援するが、同時に自分達の都合でそれを妨害する二枚舌ぶりも平然と見せる。後に中東で行われる事が既に行われていたのだった。2021/06/15