出版社内容情報
人種差別と排日運動の嵐の中で,日本人留学生,労働者,売春婦はいかに生きたか。日系アメリカ人一世に関する初の本格的研究の始まり,その差別と苦悩と忍耐を見よ(著者は日系二世)
内容説明
Isseiはアメリカ語。人種差別と排日運動の嵐の中で、日本人の留学生と労働者と売春婦はいかに生きたか。2世のアメリカ国籍だけを頼りに苦闘したIsseiと日米両国民へ贈る2世の歴史学者からのメッセージ。
目次
第1章 初期日本人移民
第2章 人夫請負制
第3章 労働組織とアメリカの組織労働
第4章 永住
第5章 排斥との闘い
第6章 1924年の移民法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
6
1890年代から本格化した日本からのアメリカ移民、第一世代(一世)の苦闘の記録。農場や鉱山で働く労働者や家事手伝いをしながら学校に通うスクールボーイでアメリカ社会に定着し始め、最初は「出稼ぎ」感覚が抜けなかったが、1910年代には第二世代(二世)も生まれ、定着していく。しかし、それと共にアメリカ社会からの反発や警戒が表面化していく。1920年代には日本人移民の禁止、帰化の禁止、土地所有の制限と様々な差別も表面化。悪徳人夫斡旋業、売春婦、賭博、中国人への偏見など日系人社会の闇にも言及しているのも貴重か。2021/02/23
穀雨
1
明治から大正時代にかけてアメリカの西海岸にわたり、農場や鉱山などで重労働に勤しみつつ、日本人社会の構築に努めた日系一世たちの軌跡が描かれている。その歴史は度重なる差別との戦いといってもよく、西海岸諸州では日本人の土地所有などを禁じる排日法が何度も成立される。日本人はそのたびに抜け穴を見出してしたたかに生き抜いていくが、最終的には1924年の移民法で日本人の渡米が厳しく制限され、日系社会は大打撃を受ける。全編を通して暗い記述が続き、当時の日本人が被った艱難辛苦が伝わってきた。2017/09/24