出版社内容情報
東欧諸民族と諸国家の成立と現在を,19世紀の反トルコ・反ドイツ・反ロシアの具体的な史実と意識のうえに捉え,東欧紛争の現在の根源と今後の世界のナショナリズム研究に指針を与える大著
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
水無月十六(ニール・フィレル)
3
序章で民族と民族集団の言葉の定義について解説し、その後でポーランド、チェコスロバキア、ハンガリーというような東欧諸国のナショナリズムというテーマで複数の学者が文を書いている。翻訳文体であり、また通史を書いているというわけでもないので、多少読みづらいところはあるが、民族意識の形成について概略が読めて興味深い。ソビエト崩壊まえの図書なので、多少記述が尻切れとんぼ感のあるところがある気がするので、そこは別書籍で補うべき。2015/07/10
印度 洋一郎
2
東欧(ギリシャ含む)各国の近世から第二次大戦後の歴史を、ナショナリズムという視点から概観。近世を周囲の帝国(オスマン、ロシア、オーストリア、ドイツ)に支配される民族の地域であり、自立のためにも「我々はこういう民族である」という意識が必要とされた。しかし、各々の民族での状況はまちまちで、ポーランドやブルガリアのように かつては大国を築いていた民族もいれば、アルバニアのように民族意識が希薄な部族社会のような民族もいて、互いに争い、民族自決の過程には地域で共存する少数民族への抑圧もあり、独立への道は険しかった2020/06/27