出版社内容情報
2005.1.29付「朝日新聞」の『Be on Saturday』:
『演歌の明治大正史』は、添田唖蝉坊の息子で作家の知道が著した演歌の世相史。反権力と風刺で庶民の心をくみ取った150以上の歌について、時代背景とともに解説した力作。音符を添えた歌もある。ノンキ節の歌詞は15番まである。「学校の先生はえらいもんぢゃさうな」「豚小屋みたいな家に住み 選挙権さへ持たないくせに 日本の国民だと威張ってる」「ギインへんなもの二千円もらふて 昼は日比谷でただガヤガヤと」と、辛辣だ。1番ごとの終わりに出てくるのが「ア、ノンキだね」という囃子詞。このほか、3年に及ぶ大ヒットとなった、むらさき節(明治43年)、「演歌の文句はかたくるしくていけない。もっとくだけたものを」といわれて作ったラッパ節(同38年)、マックロケノケ、で有名なマックロ節(大正2年)、金の世を悲しくもおかしく歌い上げた金々節(同14年)なども収録。知道が作詞したパイノパアイノパイ、でおなじみの東京節(同7年)、関東大震災後に作られ全国に広まった「復興節」(同12年)も収められている。