内容説明
一九四八年一二月一三日、青森県で共産党と社会党が合同大会を開催し、統一革命党をめざす「社共合同」が始まった。なぜ、青森県で?それは戦後革命史にどう位置づけられるのか。「“社共合同”のプロデューサー」といわれた伊藤律、社会党から共産党に移った大沢久明、共産党で大沢を迎えた津川武一ら関係者の証言を丹念に拾い、「社共合同」の実態を明らかにし、その歴史的意味を問う。
目次
社共合同とはなにか
第1部 社共合同の形成と展開(人民戦線の模索;救国民主連盟と共産党;民主戦線から社共合同へ ほか)
第2部 社共合同の地域的構築(青森県社共合同前夜;青森県社共合同の誕生;青森県社共合同の拡大 ほか)
第3部 社共合同の彼方(社共合同の全国的展開;社共合同の東北的展開;コミンフォルムと党分裂 ほか)
戦後日本と地域社会の中の社共合同
著者等紹介
河西英通[カワニシヒデミチ]
1953年北海道札幌市生まれ。弘前大学人文学部卒業、立命館大学大学院文学研究科修士課程修了、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。広島大学大学院文学研究科教授。近代日本地域史、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
1948年12月、日本共産党青森県委員会と日本社会党青森県支部連合会が合同大会を開催し、統一革命党をめざし社共合同を開始した。本書は社共合同の二人の立役者、大沢久明と津川武一の思想と行動の分析を中心に、戦後の革新勢力の動向を青森県周辺の地域性と、極東コミンフォルム構想などの国際的背景もあわせて振り返りながら、社共合同の歴史的意味を再考している。◇当然ながら『赤旗』や『前衛』からの引用が多く、人民戦線の模索といった、「革新幻想」に満ち溢れた記述が目立つ。当時の時代の息吹は感じられた。2019/10/21