内容説明
日本植民地下のソウル。西大門刑務所で出会った三人の男たちの活動は、三頭の馬が同等の力で馬車を引く“トロイカ”を連想させた。男たちの脱獄と逃走をささえ、ある時は闘いの矢面に立つ若き女性たちの群像。波瀾万丈の時代の遠い記憶が鮮やかに甦る。
目次
蓋馬高原の子どもたち
京城の朝
東京から再び京城へ
初めての出会い
光州から吹いてきた風
十月書信
生涯の同志に出会う
三頭馬車よ、進め
上海からきた密使
朝鮮の影〔ほか〕
著者等紹介
吉澤文寿[ヨシザワフミトシ]
1969年生。朝鮮現代史、日朝関係史を専攻。2004年7月に一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程を修了。2006年4月より新潟国際情報大学助教授
迫田英文[サコダヒデフミ]
1962年熊本県生。2001年8月にソウル大学語学研究所韓国語課程研究班と漢陽大学国際語学院韓国語課程専門班を修了。2004年から通訳案内士、韓国語通訳・翻訳、個人レッスン講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ファルコファン
1
1920年代「日帝時代には社会主義が民族の将来を開く一つのかがり火だったのです」と主人公の一人李孝貞は語る。『三人の女』はクートべ帰りや留学組による上からの共産党再建運動だった。この本はあくまで工場細胞を基礎にした下からの運動再建をめざした李載裕グループの物語。植民地支配下の日帝への抵抗運動は逮捕、拷問、投獄の連続で読んでいて胸が痛む。下からの「トロイカ」という独自の活動スタイルだったとあるが、よく分からなかった。2024/12/22
ハッカ飴
1
日本の植民地となっていた朝鮮で、かくも熱く強く社会主義をめざした活動家たちがいたことを初めて知った。日本の激しい取締りのなかでこうした活動家たちを助けた日本人もいたことに救われるような気持ちがした。韓国併合100年のこの年、歴史の理解にも役立つと思う。2010/04/25