内容説明
吸血鬼に豹変する令嬢―生贄になる少女たち甘美な恐怖とエロティシズムに彩られたゴシック・ホラー。動き出す言葉解き放たれるイメージ。世界の名作が“今”とリミックス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
37
実家の図書館で所蔵されていたので思わず、借りていました。「吸血鬼カーミラ」で思い出すのは「ガラスの仮面」でマヤに卑劣な妨害工作を仕掛けたのり子を「喰った」亜弓が演じた不死であるという孤独からの哀愁漂うカーミラです^^;こちらはヒロインに対し、「あなたは私のもの」、「私達は永遠にひとつになるの」と一心に掻き口説く様はいじらしくもある。しかし、その本性は醜悪であるというギャップが慄きと共に切ない哀愁を残す。多分、「孤島の鬼」での箕浦君も洞窟での諸戸氏の変貌に対する気持ちもこんな感じだったのかしら・・・・。2013/08/03
*maru*
31
著者初読み。ドラキュラやキョンシーやゾンビなど生と死を超越した存在、不死のモノに強く惹かれる読み手にとってこのタイトルを目をしてしまったらもう読むしかない。人里離れたお城で父親と暮らすローラの前に現れた美しい女性カーミラ。物語自体は物足りないほどシンプルだが、ローラの語りが実に魅力的なのだ。絶妙なバランスで配置された徳吉氏のモノクロ写真も甘美な色彩を帯びた物語の妖しさを引き立てる。好みすぎてにやけながら読み耽る私の姿はきっと物語以上の妖しさ、不気味さを醸し出していたことだろう。2018/01/06
紫
6
大栄出版からかつて出版されていたSTORY・REMIXシリーズ中の一冊であります。古典吸血鬼小説『吸血鬼カーミラ』の邦訳ですが、平井呈一訳の創元推理文庫版とは違い、こちらは平成に入ってからの訳なので古めかしさはなく、文章はほどよく上品で読みやすくて雰囲気たっぷり。横書きの文章にイメージビジュアルがイラスト代わりに差し挿まれる洋書風の体裁で、不穏で耽美な写真が否応なしに怪奇ムードを盛り上げる……と書きたいところながら、本編の内容とは合致していないような。初めて『カーミラ』に接する読者にはオススメ。星5つ。2018/01/24
きりぱい
5
不穏に百合の危うさ漂う吸血鬼もの。すっかり解決したみたいに終わったけれど、カーミラの犠牲になった令嬢や、ここでも語りのローラもゆくゆくは・・と考えたらカーミラだけ処置してもまた他のが生き返ってくるんじゃ?と。名前のアナグラムがカーミラ、ミラーカじゃ気がきかないというか緊張感もゆるむ。雰囲気で面白くもあるのにいくつか疑問がぶつ切りなのがちょっと。2014/02/02
くさてる
4
以前、文庫版で読んだことがあるのだけど、暗示的な写真がふんだんに挿入されたこの版で読むと、こんなに濃厚な内容だったかと圧倒されました。2013/09/11
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