内容説明
憂色濃い昭和二十年。日中和平に命を懸けた一人の中国人がいた。その男の名は「繆斌」。蒋介石の密命を受けた彼の和平工作は、戦争終結に向けた起死回生の秘策であった。本書は「死して和平の神とならん」とした彼の生涯と“工作”の全貌を描く。
目次
第1部 上海の街角―生き証人との会談
第2部 聖断により葬られた真相(狂瀾概倒下の船出;迷走東風;総理、特使を派遣;蒋総統の密使;救国、最後の好機を逸す;日本の政治家は豚の頭か;鎮魂)
第3部 蒋介石の世界と繆斌の王道天下(蒋介石の世界;繆斌の王道天下)
資料(繆斌作詞「新民会歌」「新民青年歌」;新民主義解説;和平神繆斌顕彰碑碑文;関係年表)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
11
大戦末期の、いわゆる「繆斌工作」の真相を追った本。著者は小磯国昭の秘書を務めた人物。膨大な史料と証言による繆斌工作の解明には説得力があり、従来の繆斌批判に対する反論もうなずかせるものがある。ただ、繆斌の縁者との対話が小説チックで説得力を落としているのが気になる。また、膨大な人名を出しすぎて読み手に混乱を与え、全体像がつかみにくくなってしまっている。多くの証言者によって繆斌工作の真相に迫ろうとしているのはわかるが、あまりにも数が多くてかえって混乱する。もう少し、スッキリとまとめた方がわかりやすい。2017/11/29
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