内容説明
ゲーテは女性になりかわって、その内面を代弁したり、女性を素晴らしい存在だと見なしていたわけではない。自分を語るための器として用いたにすぎない。それは空であるほどたくさん盛ることができる。器である女性が自ら語り出したり、自己主張することはゲーテにとって望ましくなかった。女性の視点からゲーテを読み直す。また18世紀から19世紀の女性小説を丹念に読み、男性社会規範の中でもがいた彼女たちの姿をうかびあがらせる。
目次
第1部 ジェンダーで読むゲーテ(『シュテラ―恋人たちのためのドラマ』;『若きヴェルターの悩み』のロッテ;『美しい魂の告白』―ある敬虔主義女性信者の文学化 ほか)
第2部 女性の文学とジェンダー(ドイツ近代におけるジェンダー理念の整備;コルネーリア・ゲーテ;ゾフィー・フォン・ラロッシュと『シュテルンハイム嬢物語』 ほか)
第3部 カロリーネ・フォン・ヴォルツォーゲン(カロリーネ・フォン・ヴォルツォーゲンの家族物語―『アグネス・フォン・リーリエン』;カロリーネ・フォン・ヴォルツォーゲンの結婚物語―『物語集』;カロリーネ・フォン・ヴォルツォーゲンにおける生と表現―『コルデーリア』と『ロイカス岬の断崖』)
著者等紹介
星野純子[ホシノスミコ]
1944年兵庫県神戸市生まれ。1969年京都大学大学院修士課程修了。大阪府立大学総合科学部教授
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