内容説明
ポストモダンの愛の小説。メタファーやメトニュミー、言葉遊びを駆使して、男女の愛の力関係を挑発的に描く。現代文学の可能性の限界に挑んだ傑作。
著者等紹介
中込啓子[ナカゴメケイコ]
東京生まれ。お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業後、東京大学大学院独語独文学修士課程修了。現在、大東文化大学文学部教授
ブリール,リタ[ブリール,リタ][Briel,Rita]
チュービンゲン大学修士課程修了(日本学)。1988年日本政府(文部省)奨学金で立教大学に留学。DAADのIVG事務所勤務の後、独協大学、慶応義塾大学非常勤講師を経て、現在立教大学講師。専門は日本文化史
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感想・レビュー
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マッピー
2
内容はというと、雇用者は被雇用者に対して絶対の権限を持ち、男性は女性を好きに扱う権利がある。つまり、持てる男(モテる男に非ず)はやりたい放題だ、というもの。それが手を変え品を変え、視点を変え文体を変え延々300ページ以上も続くのであるから、そりゃあ食傷する。この作品の肝は、言葉遊びや造語によるメタファーの波状攻撃だろう。だから、本来は原書でこそ味わえる部分が多いと思う。かなり日本語としては読みにくいし注釈も煩わしい。(訳者によると原文でも相当読みにくく、訳者自身も翻訳を一時中断したほどであるとか) 2014/10/02
発起人
1
男性による性的支配構造を技巧をつくして描いた作品2008/02/05
ディヴァイン
0
母親は夫との耐えられない性生活に喘いでいた。そんな彼女が行く先は…。難解なテクストを駆使しつくしたさまが激しい。
mizu
0
イェリネクの本は、何冊かチャレンジし、ようやく面白く読めるようになってきた。日本文化にどっぷり浸かっていると、物語の筋や展開は控えめで、メタファーや言葉遊びが中心の表現に気後れしてしまう。徐々に、言葉の嵐の独特の雰囲気が変換されずに、そのまま体内に入り込んでくるようになってきた。翻訳のため、言葉独自の繊細な感覚表現はわからないが、原文がわかったら更に未知の感覚を刺激されるのだろう。オーストリアでは、本書がベストセラーになるほど読者の文化的素地が高いんだなあと感心してしまう。刺激的な1冊。2020/08/19