内容説明
前方後円墳の祖型となる巨大な王墓。2021年12月に岡山大学文明動態学研究所・岡山大学考古学研究室から、同大学が行った楯築墳丘墓の発掘調査報告書が刊行された。直径49mの円丘部の両端に突出部を設ける推定全長83mの規模は、弥生時代後期築造の墳丘墓の中でも突出する。また、墳頂部に残る6基の立石や発掘調査で確認された大柱遺構、木柱、建物、石組排水溝を伴う木槨・木棺からなる埋葬施設。そして、葬送の祭祀に用いられた弧帯文石や土製玉類、人形土製品、特殊器台、特殊壺をはじめとする多量の土器。それらからは、後の前方後円墳にもつながる「墓の威容を見せる」という思想を読み解くことができる。本書は、後に展開する古墳の起点となるこの遺跡の発掘調査成果を、発掘調査に携わり、先の発掘調査報告書を取りまとめた著者が、一般の方々にもわかりやすく解説したものである。
目次
第1部 遺跡の概要―楯築墳丘墓とは―(遺跡のある場所;墳丘と構造物;円礫堆;中心埋葬;大量の土器;遺跡の特性)
第2部 遺跡の諸相―調査経過と祭祀の品々(調査研究の経過;出土遺物;弧帯文石;出土遺物と墳丘の築造;遺跡のその後と整備・周辺案内)
著者等紹介
宇垣匡雅[ウガキタダマサ]
1958年、岡山県生まれ。岡山大学法文学専攻科修了。博士(文学)。岡山県教育庁文化課等、岡山県古代吉備文化財センターを経て、現在、岡山県立博物館勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
123
この遺跡好き。岡山県吉備路 ストーンヘンジみたいに石が立ってる。 以前行った時は迷って苦労した。今はもうちょっと整備されてるかも。古墳時代より前、弥生時代の。 あの不思議な模様の石も良い2024/10/01
ナオ
0
どんな整備になるのか、楽しみである。2025/06/09
kurokurumi
0
楯築遺跡の調査研究の過程が丁寧かつ詳細に記載されている。弥生時代の墳丘墓の中で特出している同遺跡の特徴が細かく記載されており、また、発掘当時の臨場感も垣間見える。円筒埴輪の前進と言われる特殊器台や吉備地方に多くその他の地域でも見られる弧帯紋石、この遺跡から箸墓古墳そして古墳時代へとつながっているかと思うと、非常に興味を掻き立てられる。是非実際に目にしたいと思った。2024/12/15