出版社内容情報
親族集団による祖先祭祀と再葬制の社会的意味に着目し、多様な考古資料の分析から縄文後半期に顕在化した様々な文化変容の背景を考究する。
第?部 学説史と理論の整理
第1章 本書のテーマと問題意識
1.基底にある問題意識
2.縄文時代後半期の文化変化をどう見るか
3.儀礼祭祀の考古学
4.本書の構成
第2章 縄文社会をめぐる学説史――変容する縄文社会像と歴史観――
1.窮屈な「原始社会」
2.縄文社会はどのように語られてきたか――学説史の整理――
3.縄文社会論の現在――社会考古学の論点整理――
4.変容する歴史観
第3章 社会複雑化の理論的考察――階層化原理としての「出自」――
1.階層化社会論の理論転換
2.権力の源泉ならびに維持
3.階層化原理としての出自
4.展 望
第?部 縄文時代の親族組織と儀礼祭祀
第4章 環状集落と出自集団
1.親族制度の概要
2.環状墓群の分節構造と出自集団
3.縄文時代の出自集団をめぐる議論
4.仮説の検証――埋葬人骨分析による血縁関係推定――
5.事実と解釈
第5章 祖先祭祀とモニュメント――環状集落から環状列石へ――
1.縄文時代の祖先祭祀をめぐって
2.環状集落と集団墓祭儀
3.祖先祭祀とモニュメント造営
4.祖先祭祀と縄文社会の複雑化
第6章 石棒祭祀の性格
1.大形石棒と環状集落の脈絡
2.石棒祭儀の行為とコンテクスト
3.祖霊の力を象徴する石棒
第7章 竪穴家屋にみる空間分節とシンボリズム
1.文化景観としての家屋
2.中期の竪穴家屋にみる空間分節とシンボリズム
3.イデオロギー強化とその社会背景
第8章 再葬の論理 ――死と再生の観念――
1.縄文時代の再葬制
2.再葬制の発達と終焉
3.再葬のイデオロギーと歴史的意義
第?部 先史時代の社会複雑化
第9章 ブリテン新石器文化と縄文文化の比較考古学
1.先史社会の比較考古学
2.ブリテン新石器文化のモニュメント
3.ブリテン新石器文化と縄文文化の相対化
4.展 望
第10章 儀礼祭祀と生産の特殊化――縄文人はなぜ稲作を受容したのか――
1.複雑化する縄文社会
2.社会構造と祖先祭祀の変容
3.社会階層化を助長する儀礼祭祀と特殊生産
結び 歴史観への集束
1.環状集落論をふりかえって
2.縄文社会複雑化の真相
3.結 論(要旨)
引用文献一覧
図表一覧および出典
あとがき
谷口 康浩[タニグチ ヤスヒロ]
内容説明
縄文人の死生観・祖霊観とは。縄文社会はなぜコメを受け入れたのか。葬制が発達し儀礼祭祀が盛行した縄文後・晩期の文化変容は何を意味するのか。またそれは社会の複雑化や農耕受容とどのように関係していたのか。原始共同体という縄文時代像を脱却し、新たな歴史観で捉えなおす。
目次
第1部 学説史と理論の整理(本書のテーマと問題意識;縄文社会をめぐる学説史―変容する縄文社会像と歴史観;社会複雑化の理論的考察―階層化原理としての「出自」)
第2部 縄文時代の親族組織と儀礼祭祀(環状集落と出自集団;祖先祭祀とモニュメント―環状集落から環状列石へ;石棒祭祀の性格;竪穴家屋にみる空間文節とシンボリズム;再葬の論理―死と再生の観念)
第3部 先史時代の社会複雑化(ブリテン新石器文化と縄文文化の比較考古学;儀礼祭祀と生産の特殊化―縄文人はなぜ稲作を受容したのか;歴史観への集束)
著者等紹介
谷口康浩[タニグチヤスヒロ]
1960年東京都市ヶ谷に生まれる。1983年國學院大學文学部史学科卒業。1987年國學院大學大学院文学研究科博士課程後期中退。2007年博士(歴史学、國學院大學)。現在、國學院大學文学部教授。専門分野:先史考古学、とくに縄文文化・縄文社会の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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