出版社内容情報
二十世紀初頭、中国西域の調査に派遣された著者が幾多の苦難ののち敦煌の千仏洞に辿り着くまでを様々なエピソードと共に綴る。
内容説明
スタインやペリオらに遅れること約20年、著者ウォーナーは敦煌の千仏洞をめざし半年間の調査旅行へと北京を旅立つ。一行の足は馬やラクダ、そしてラバの曳く荷馬車。秋から冬へ向かう季節の峻烈な気象条件、強盗集団の怪しい目、そして病に斃れる仲間。苦闘の連続ののち辿りついた千仏洞で著者が目にした古き仏たちは…。20世紀初頭、まだ冒険だったシルクロードの旅!
目次
古くからの北西の道
古代中国の都、西安
西域へ
象の石窟
蘭州と六つに折れ曲がった山道
凉州
ロシア人のエクソダス
駱駝のキャラバン
黒い川を下る
マルコ・ポーロの町、エドゼナ
砂漠の冬
寺院を呑み込んだ砂丘
敦煌
千仏洞
帰り道
著者等紹介
劉学新[リュウガクシン]
1955年中国上海に生まれる。1977年中国華東師範大学日本語学部卒業。1989年奈良教育大学大学院教育学研究科修士号取得。1993年奈良女子大学大学院人間文化研究科文学博士号取得。現職、Associate Professor of Japanese and Asian Studies,Spelman College,USA(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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梅子
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中国の仏教文化財を求めて、戦争で荒廃した大地を西域へ向かったアメリカ人収集家の著作。著者による「戦争と阿片で荒廃した醜い現代中国」と「忘れ去られた古代文明の美しさ」との対比が印象的。著者は敦煌の石窟寺院から壁画を剥がし持ち帰った。この行為について著作内では真っ当そうな言い訳を書き連ねるが、実際は文化財破壊以外の何物でもないことは後書きの解説にもある通り。文体は日中英マルチリンガルの中国人訳者が訳している為か、所々読みにくい部分はあるが、冒険物の読み物としては大変面白かった。2017/10/31