感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itokake
6
新潟県古志郡の虫亀に、長島ツルさん(昭和32年当時90歳)がいた。本を開くと彼女の凛とした写真があり、息をのむ。彼女が著者に語った122話の昔話がこの本。まるで佐々木喜善の『老媼夜譚』のよう。10人の子供を産んだツルさんはまれにみる貞女と新潟日報社に表彰されたが、その苦労は「5年も6年も帯を解かない時代もあった」と表現するにとどまる。消えゆく昔話を直前で書き留めてくれた著者と、その時まで生きてくれていたツルさんの奇跡のような会合に思いをはせながら、この2週間はこの本を読みながら眠りについた。2021/11/25