内容説明
遺跡の総合ガイドブック!「地域の個性をあらわすシンボル」「未来を見通す望遠鏡」である遺跡の過去・現在・未来を、最新の発掘データをふまえ、1冊に凝縮する。
目次
1 謎解きの始まり
2 西都原古墳群の位置づけ
3 西都原古墳群の研究史
4 基本資料の確認
5 西都原古墳群を読み解く
6 西都原古墳群から『記・紀』を読み解く
7 史跡整備と考古博物館の将来
8 西都原古墳群から世界史が見える
著者等紹介
北郷泰道[ホンゴウヒロミチ]
1953年、宮崎県生まれ。立正大学文学部史学科考古学専攻卒業。現在、宮崎県立西都原考古博物館主幹・宮崎公立大学非常勤講師。著書に『熊襲・隼人の原像』吉川弘文館、1994年(第5回宮日出版文化賞受賞)など
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感想・レビュー
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うしうし
2
宮崎県西都原古墳群を見学した翌日、市民図書館に本書が収蔵されていることを知り、一気に読了。4世紀に始まる複数系列の首長墓系譜は5世紀前半に男狭穂塚・女狭穂塚へ系譜が統合されるが、5世紀後半から6世紀前半に前方後円墳に現れる首長墓の築造は中断され、新田原古墳群へと移動する。西都原においては、この時期地下式横穴墓を埋葬主体部とする円墳群の築造が中心となり、前方後円墳が再登場するのは6世紀後半の船塚・姫塚で、6世紀末に巨石を用いた横穴式石室をもつ鬼の窟古墳で首長墓が終焉する(P6)。2016/10/16
hyena_no_papa
1
なにゆえ宮崎県にはこれほど古墳が多いのか。しかも、典型的前方後円墳が多く、サイズも九州北半のそれよりもむしろ規模が大きい。西都原古墳群について画像や図表、平面図なども多く掲載した好著。西都原台地上の寺原遺跡は古墳築造集団の集落とするが、このように明確に古墳築造集団の遺跡というものが全国に存在するのだろうか。もちろん男狭穂塚、女狭穂塚についての考察も興味深い。また、目立たないが地下式横穴墓や土塁を巡らせた鬼の窟古墳など異形の古墳も見逃せない。都萬神社と地名の妻は『魏志』「倭人伝」の投馬国を想起させるが。