出版社内容情報
竹中 明洋[タケナカ アキヒロ]
著・文・その他
内容説明
金大中拉致、朴正煕夫人暗殺、朝鮮学校運営、力道山の囲い込み…日本のなかの「南北代理戦争」を炙り出す。
目次
二つの戦争
楽園のまやかし
争奪
金大中事件と文世光事件
工作
拳で守る
知恵の悲しみ
朝銀破綻
越境人を育てる
見果てぬ夢
マルハン一代記
混迷の中央委員会
終わりし道の標べに
祖国はいずこ
著者等紹介
竹中明洋[タケナカアキヒロ]
1973年山口県生まれ。北海道大学卒業、東京大学大学院修士課程中退、ロシア・サンクトペテルブルク大学留学。在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、「週刊文春」記者などを経てフリーランスに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
総連と民団に繋がる確執が、朝鮮半島が分断される前から始まっている事実に驚く。金大中事件・文世光事件・日本人拉致などの著名な事件に、両団体が複雑に絡み合っている歴史に、その相克の闇の深さを実感する。同じ民族なのに、同じ在日なのに、本国以上に南北の対立感情が根強く残ることに複雑な思いがするが、それは二つの本国政府の思惑に翻弄された結果でもある。と同時に、植民地支配の歴史、今も残る差別、偏狭な外国人政策など日本の責任があることも忘れないでいたい。多くの直接取材を経てフェアな姿勢を貫く著者による素晴らしいルポ。2023/01/05
チェアー
5
総連も民団も、個人では志のある人が多い。だが、上層部批判は許されず、誤りを認めない。誤ったと分かっても、害を被った人々には謝罪しない。 親睦団体として総連や民団を維持していくほうが意味があるのではないか。そう日本人が考えることも差別的なのだろうか。「日本人」も「彼らの意思を尊重する」といいつつ、放置していいのか。それは差別を温存するほうが都合がいいからではないかとも考える。 2023/03/22
K.C.
2
一緒くたに見てしまいがちな民団と朝鮮総連。その歴史を丹念におった本作。理不尽とも思える本国の指示、対立したり手を結んだりする相手、そして身内。解決しない。2023/05/28
guanben
2
在日本朝鮮人総聯合会と在日本大韓民国民団。日本の植民地政策や外国人政策、本国政府の思惑など、様々な外的要素によって、2つの団体の相克は増幅され、先鋭化し、現在に至っている。本書は両団体に縁のある人々に取材し、その歴史の一端を紹介する。紆余曲折を経ながらも、両団体はなんとか日本で共存してきた。その経験と歴史は、朝鮮半島の南北と日本が平和的な共存に寄与できるはずと指摘。そうなるといいね。2022/10/29
蝮
0
分断や日本社会の差別性に抗った人たちの群像。もしくはそれを食い物にした組織人たちの群像。2022/12/07