内容説明
陸上輸送の手段はもっぱら牛馬の背による駄送によっていた江戸時代。その担い手として中心的な役割を果たした駄賃稼ぎたちに焦点をあて、本州中央内陸部に残る史料をもとに近世における商品経済の一側面を検証する。
目次
序章 わが国における駄送の発達
第1章 近世本州中央内陸部の駄賃稼ぎ
第2章 商品流通の発展と駄賃稼ぎ
第3章 明和の裁許と駄賃稼ぎ
第4章 甲州西部市場圏の構造と駄賃稼ぎ
第5章 明治維新と駄賃稼ぎ
終章 車輌の復権と駄送の衰退
著者等紹介
増田広実[マスダヒロミ]
1930年長野県に生まれる。1960年東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程終了。交通史研究会会長。山梨県史編纂専門委員
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
12
江戸時代の甲州(山梨)・信州(長野)の陸上輸送、特に馬や牛の背に載せて輸送するタイプの駄賃商売について研究した一冊。その陸上輸送でも宿場ごとにリレー式で輸送する宿継、荷替えをせずに一定区間を一つの駄賃稼ぎが輸送する附通し輸送がある。効率性や依頼者の安心感からすると一つの業者で実施する附通しが良いようにみえるが、区間によっては宿継しか認められていない場所もあり複雑な商環境になっている。幕府崩壊後は明治政府の法整備により、駄賃稼ぎたちは会社のもとに統合されていくという流れも面白い。2020/07/26
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