内容説明
火事と喧嘩は江戸の華。世界にも類を見ないほど多発した火災をとおして、都市の織りなす環境、武士の都としての特異な行政、そして江戸市民の生活を浮き彫りにする。
目次
第1章 火災都市江戸
第2章 武家火消の発達
第3章 町火消の隆盛
第4章 江戸の防火対策
第5章 火災後の江戸
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
58
江戸力強化月間①。どうにも元々が西洋文学、西洋史派であるもので、これまで江戸時代に解像度を求めていなかったことを反省し、年代とか地理を意識しながら江戸を読んでみようと思い立ちました。例えば明暦の振袖火事は1657年、天和の八百屋お七の火事は1682年、『ぼろ鳶組』の明和の大火は1772年ですが、それぞれ同時代にどんな人物が生きてたかなあ、と意識してみようかと。本書は教師をしながら災害史を研究する人の著書ですが、組織や地域の解像度が高く読み応えあります。竜吐水導入の話が面白かった。2022/05/02
アメヲトコ
8
江戸の火事の頻度から、武家火消と町火消による防火システム(のようなもの)、瓦葺や穴蔵などのハード的な対処など、江戸の町が火災といかに向き合ってきたかをまとめた一冊。全体として読むと、ほんとに不燃化する気あるのって感じもしますが。2020/05/12
Splash
2
江戸時代、乾燥して北風が強まる1月~4月に、毎月10件以上の火災があったという。火災が発生し延焼しやすい自然条件に加えて、江戸が当時の世界最大人口都市で木造家屋が極度に密集していたこと、火事場泥棒や家屋再建需要を狙った放火も多かったことが挙げられている。火消し隊として、いろは順に命名された組組織や、長谷川平蔵で有名な火付盗賊改など、江戸の文化は火事を背景に形成されていることもわかった。とても興味深い本だった。2017/02/16