内容説明
2008年8月に起こった「グルジア戦争」を、現地で取材に携わった朝日新聞元モスクワ支局長が検証する。
目次
第1章 戦争へのうごめき(開戦の前日;スナイパー戦争)
第2章 「五日間戦争」の経過(ツヒンバリの攻防;戦局の転換;アブハジアへの戦線拡大;グルジア部隊総崩れに;ロシア軍のグルジア領進出;六項目合意)
第3章 戦争の結果(占領と破壊;グルジア軍の誤算;確定しない被害)
第4章 戦争の残したもの(国際的波紋;ロシアの得たもの)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スカイバニラ
10
09年刊。08年9月末まで朝日新聞モスクワ支局長として勤務していた著者による、グルジア戦争(グルジア紛争)の勃発から終焉までのレポート。戦況や死傷者数に関してはロシア、グルジア双方の報道を列挙し、著者自身も戦闘後の現地へロシア軍外国記者用のプレスツアーで赴き、現地や住民の様子について述べています。薄い本なのでグルジア紛争について知りたい場合には良いかもしれません。欲を言えば表紙裏の図とツヒンバリ周辺の戦闘状況地図をもう少し詳細なものにして欲しかったかな。2012/06/17
Koning
2
日本ではオリンピック報道ですっかりスルーされていた管の有るグルジアとロシアの戦争をコンパクトに纏めてくれている。これとグルジア現代史を読めば少しは語れるようになると思う(笑)。しかし、サァカシュビリもまだ頑張ってんだよね、ウクライナは親露政権になったけど。にしてもカフカス語族の発音は難しい(あ、これはニューエクスプレスの感想じゃんか)2011/11/11
samandabadra
1
細かい経過が事細かに書いてある。 この辺を見るとグルジアの巻き込まれ感が見える。 とまれ、ロシアも用意周到のように見えて、先が見えない状況になったわけですが…。この後、ウクライナからクリミアを強奪するぐらいまで追い詰められます。というか、これもいつかそうなるようにじりじりじりじり用意したのだろうなあ。2016/11/16
宵子
1
日本では北京オリンピック&そもそも地理的に関係が薄いこともあって、その後がスルーされ気味だったグルジア紛争について触れたもの。五日間で終わったことのその原因かもしれない。 著者によると現地民ですら攻撃時の状況を分かっていないこともあり、ホラーっぽい恐ろしさを秘めた現代戦だったのかと思った。 紛争時に南オセチアの地理状況や周辺のグルジア系住民についても書かれており、結局誰も得しなかった?紛争なのだろう。 またドニエストルなどの他の未承認国家についても触れられているので、こちらの分野に関心がある方にもお勧め。2013/11/13
人民の指導者
1
南オセチアとアブハジアをめぐる「グルジア戦争」について戦略面・戦術面から書かれている。南オセチアをめぐってロシアとグルジアの両国が対立をエスカレートさせ、それが譲歩できない両国、そして米露関係における「棘」になっていた過程には、なんだかなぁ、という感じを受ける。双方の発表やプロパガンダが錯綜している5日間の戦争について、情報がかなり整理されているので、今度グルジアに行く時にこれを持って色々見学しよう。2011/06/18