内容説明
ロシア・ソ連のアニメ史を重要人物・作品を中心に年代を追って記述。革命やロシア・アヴァンギャルドとの関わり、日本の著名作家に与えた影響、リバイバルで日本でもブームとなった「チェブラーシカ」シリーズの背景などにも触れた。
目次
1 ロシア・アニメの先覚者スタレーヴィチ
2 アヴァンギャルド美術から漫画アニメへ
3 映像と音楽―ツェハノフスキーの実験
4 「ソビエト版ミッキーマウスを創り出そう」―ディズニー化の波
5 戦前の人形アニメ―プトゥシコの軌跡
6 戦中・戦後のソビエト・アニメ―民話への回帰
7 遅い雪どけ―ヒトルーク、カチャーノフ
8 切り絵アニメの詩人ノルシュテイン
9 巨匠たちの後で―1980年代から現在まで
著者等紹介
井上徹[イノウエトオル]
1965年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了。映画史・ユーラシア文化研究者。エイゼンシュテイン・シネクラブ(日本)の活動を通じ「《映画100年》ロシア・ソビエト映画祭」、「ロシア・アニメ映画祭2000」の企画・運営にかかわったのをはじめ、旧ソ連圏の映画やアニメを日本に紹介する上映企画、執筆、翻訳などを続けている
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感想・レビュー
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keroppi
32
「ノルシュテイン」で図書館の本を検索し、借りた本。本というより、パンフレットのような解説ブックレット。短いながら、ロシアアニメの歴史を概説している。独自に発展したロシアアニメだと思ったが、ディズニーが影響を与えていたようだ。一昨日「ディズニーアート展」で初期のディズニーアニメに触れたが、今のCGによるアニメよりインパクトがあった。ロシアアニメ、解説だけでなく実物を観てみたい。2017/08/12
narmo
2
内容はよいと思いました。ただ歴史の教科書みたいで、読むのがちょっと疲れました。実物のアニメがみたくなりました。2017/10/27
ネムル
2
高野史緒の旦那の本。アヴァンギャルド、プロパガンダ、ディズニー模倣……とソ連のアニメーションが様々な試みをしてきたのが確認できた。2009/06/25
紙魚
2
チェブラーシカやミトンの可愛らしさがどんな流れで生まれたのか知りたくて購入。アバンギャルドの作品もかなり面白そうだ。プロパガンダだって資料としてはいいが、あまりにもディズニーの真似に走ったのはいただけない。物も技術もないなかで、手探りで作品を練るからこそ、珠玉のようなものが生まれたんだろう。CGは可能性を広げる一方で、アナログな工夫の可能性を摘み取ってしまったようだ。2009/02/24
晴天
1
ロシアにおけるアニメは、比較的早くから盛んに制作されていたが、しかしディズニーのインパクトがあまりにも強く、ソ連時代のいっときは芸術性よりも娯楽性を追求してディズニー的な作品以外は作りがたかったというのが意外だった。2022/07/30