内容説明
元文部科学技官が福島第一原発事故での実体験をベースに研究者の葛藤を活写した放射能問題と除染。第4回エネルギーフォーラム小説賞受賞。
著者等紹介
松崎忠男[マツザキタダオ]
1953年生まれ。東京大学工学部卒業、米国ペンシルベニア大学大学院修士課程修了。旧科学技術庁に入庁。文部科学省で科学技術行政などに携わる。『小説 1ミリシーベルト』で第4回エネルギーフォーラム小説賞を受賞(応募作『合理的に達成できる範囲で低く』を改題し、加筆)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hutaro
6
3.11後、食品の放射能基準や福島県の学校の校庭での年間放射線量の基準を定めるにあたってこんなやり取りがあったんだな…。フィクションの部分もあるとは思うけど。でも、校庭の放射線量が事故後だけ年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げられたというのは本当で、これに憤った立場ある人が涙ながらの会見をしたというのも事実。何を信じていいか誰もが分からない中で、こういった基準を定めるということは本当に難しい。原発推進だの反対だのの言い争いよりよっぽど興味深い小説。2018/07/01
ホン
3
福島の原発事故による放射能汚染をドキュメンタリータッチで描いている。小説形式だからわかりやすい、一般人にすれば全然見えないだけあって専門家の発言に非常に敏感になってしまう。平常時は必要以上に数値を抑えてる分 いざ事故が起き緊急時になってそのままの数値を適用すると大パニックに陥ってしまうから数値を変更せざるをえない、専門家の立場から誤解されることなくいかに一般人に伝えられるかの苦労が詳細に語られている。当時を思い出しながら読んだ。2018/05/26
jolly
1
これは小説の体を借りた史実ってことなんでしょうか。筆者=主人公のスタンスってことなんでしょうか。よくわかんなかったんです。いろいろよくわかんなかったんです。2018/06/01
GX
1
福島原発事故を題材とした専門家と非専門家である当事者とのコミュニケーションの難しさを描いた小説として読みました。同じようなケースとしては、医師が患者やその家族に本人の病気や治療方法について説明するような場合もあるのですが、この場合はあくまで個人的なレベルになるのと違って、ここでは、政党や組織の様々な思惑が絡んでくることで、余計に互いのコミュニケーションを困難にしている。ただ、専門家の立場からしても、非専門家である当事者の素朴な疑問を取り込むことで、一層、専門分野の質を上げることにもつながるのだと思います。2018/05/26
のん
0
混乱や不安を避けようとしての、正確ではない発表に、更なる不信感を招く事に……それぞれの正義があって、矢面に立たされる者は辛いですね。2021/01/19
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