内容説明
シェールガス革命でエネルギー・モンロー主義化する米国、日本は米国との同盟関係を維持しつつ、中国とライバル関係にあるロシアと提携し、中国をけん制する発想が肝心だ。ロシアとの同盟をあえて「エネルギー同盟」としたのは、ゼロサムの安全保障とは異なりエネルギーの世界はプラスサムであり、これによって日本の国益増進はもとより東アジア地域の安定を確保できるからである。
目次
第1章 シェールガス革命に乗り遅れる日本
第2章 シェールガス革命と「中国の膨張」に悩むロシア
第3章 エネルギー・モンロー主義に舵を切る米国
第4章 日本はアジアのオフショア・バランサーを目指せ
第5章 日本はサハリンからのパイプラインに活路を見出せ
第6章 日露エネルギー同盟で東アジア地域の安定を築く
著者等紹介
藤和彦[フジカズヒコ]
1960年愛知県生まれ。84年早稲田大学法学部卒業。通商産業省(現・経済産業省)入省後、産業金融・通商・エネルギー政策などの分野に携わる(91年から2年間ドイツ留学)。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンスを担当)。2011年4月から公益財団法人世界平和研究所主任研究員、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆきまさくん
1
原発の比重が低下するなかで、火力発電やコジェネに利用可能な天然ガスの導入が増えれば、分散型電源のメリットが生かせる環境が整うし、老朽化した火力発電の負担も軽減できるという。 それにはロシアとの提携が重要であり、究極的には日露間のパイプラインの敷設が必要というもの。 数年前の時点のものではあるが、ロシアのみならず、米国、中国、東南アジアのエネルギー政策、地政学上の観点からの日本の位置づけがわかる。 2017/08/27
coolflat
0
中露関係は意外と良好ではなく、中国の大国化を抑制するためにも、パイプラインによって日露関係を関係を発展させていこうのがこの本の趣旨であろう。地政学については、日米同盟絶対肯定とはいかないまでも、中国をかなり敵視しているため、偏った印象を受ける。パイプラインが安全保障に寄与するというのが、最も胸にストンと落ちた所だ。特にパイプラインの「相互確証抑制」の件は、一番知らなければいけないことではないか。「相互確証抑制」とは“パイプラインによってつながれた関係国間での破滅的な闘争が自動的に回避される発想”なのだが。2013/06/25
ツル君
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まずタイトルに驚いた。帯に「安倍新政権への緊急提言」とあったのにも興味を持った。内容も知らないことだらけで眼から鱗だった。しかも大変読みやすく、あっという間に読み終えた。 日本にとって頼れる国は「ロシア」だとよくわかった。エネルギー安全保障と対中牽制のため、「日露エネルギー同盟」に大賛成! これをきっかけに北方領土問題も解決すれば、歴史的快挙となるのではないだろうか。著者の藤さんがいうとおりロシアとの関係はゼロサムでなくプラスサムだ。2013/02/03