感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
6
生存圏という考えがナチスに利用されたために悪名を蒙ってしまった地理学者。もとは歴史哲学に地理的制約を取り込んだ独自の思想を展開した。柳田の方法論や「科学哲学」に無視できない影響を与えている。「島の政治」などというのもラッツェル的な発想なのだ。文化進化論に対して伝播説を掲げたのであるが、進化自体を否定したわけではない。自然淘汰ではなく移動・移民を重視したのは、時間の断絶ではなく長い時間をかけた漸進的変化や地球全体を一つの有機体とする見方と関係がある。ドイツ哲学の切れ目のない全体への志向が伝播説につながった。2019/06/17