内容説明
片道二十四キロ、高低差千三百メートル以上の山道を十六時間かけて一日で往復。九年の歳月をかけて四万八千キロを歩く。そういう苦行を経験したから、悟れるのではない。大事なのは、行から得たものを生活の中でよく実践することである。逆に言えば、それぞれに与えられた場でそれぞれに与えられた役目を果たしていく中でも、多くのことを感じ、悟ることができる。だから、私たちの人生はすべて修行なのである。
目次
プロローグ なぜ千日回峰行をはじめたのか
第1章 千日回峰行とはどういうものか
第2章 私を行に向かわせたもの
第3章 千日回峰行までの道のり
第4章 心を磨く千日回峰行
第5章 いつも次なる目標に向かって
第6章 流れの中でありのままに
エピローグ 人生生涯小僧のこころ
著者等紹介
塩沼亮潤[シオヌマリョウジュン]
昭和43年仙台市生まれ。62年東北高校卒業。63年吉野山金峯山寺で出家得度。平成3年大峯百日回峰行満行。11年吉野・金峰山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行を果たす。12年四無行満行。18年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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lily
88
0.3ℓの涙。残り少ない水を干涸びかけのミミズに与えて命救ったこと、歴史上2人目となる四無行を満行した後の師匠からの言葉に。感謝の意味をこれほど理解した人に初めて出逢った気分だ。私の人生の中の感謝を全て合わせても著者の1回の感謝にも届かないだろう。足るを知ること、人を思いやること、一番大事だと知っていても本当の意味で知るにはまだ時間がかかりそう。ひとりだけよく思わない人がいたという為人が気になるけれど。仙台まで会いに行きたいなぁ。そんな麗しき御心に久しぶり出逢った感激と感謝を伝えに。久しぶりの超お勧め本!2021/06/12
フリージア
32
吉野山金峯山寺は修験本宗総本山とあった。神道と仏教を融合した修験道。日本にはこういう宗教もあるのかと知った次第。酒井雄哉阿闍梨の千日回峰行のテレビを観て、より厳しい吉野山の修行を求めて入山したという。塩沼亮潤少年が大阿闍梨になるまでの修行の様子や思ったこと、考えたこと、悟ったことが綴られている。凄いの一言だった。2021/10/19
いっちゃんず
28
往復48km、高低差1300km以上の山道を千日間歩く「大峰千日回峰行」、そして、断食・断飲・不眠・不臥を9日間続ける「四無行」。これらの行を志した動機、文字通りの「苦行」を完遂する意思力、行を終えて至った境地。どれもあまりに崇高で、完璧で、凡人の私には一生かけても到達できない異次元のレベルに思える。上辺だけマネして何かしても薄っぺらさだけ目立ってしまうのだろうから、せめて感謝を忘れず日々丁寧に生活する事をなるべく心掛ける、ぐらいのところで良しとしておこうか(笑)2015/07/02
SORA
20
なでしこジャパンの佐々木監督が、以前紹介していたのを思い出し読んでみた。阿闍梨と呼ばれる方たちが、とんでもない修行を乗り越えた結果、そう呼ばれることを初めて知った。どうしても苦手な人を修行し20年を経て受け入れることができた話は、阿闍梨様でもそうなんだと、身近に感じることができた。2015/07/09
あんパパ
19
NHKのインタビュー番組で大変印象に残ったので更に活字で読んでみた。とてもとても真似ができることではないが、億千万の一でも実践できるような心になれればなぁ。 「不将(おくらず)不迎(むかえず)応而(おうじて)不蔵(ぞうせず)」 過ぎ去ったことをくよくよしない、これから起こりうることに思い悩まない、そとのきに応じて懸命に努める、今日一日を大切に生きて、恨みや憎しみといった瞋恚の感情を心にしまい込んでおかない。。。2015/04/19