内容説明
戦後の荒れ狂う時代、あるいは高度成長期の高揚する時代の波の中で、創造の自由を求め続けたドキュメンタリー作家・野田真吉。詩人でもある彼は、時代状況、社会状況に応じて何を考え、どんな作品を創ってきたのか。本書は、映画に憑れたひとりの人間が自作の記録映画を語りながら、その遍歴を赤裸々に描いたドキュメントの傑作である。
目次
戦前、戦中のこと
戦後のこと、東宝のストライキ
戦後のこと、人間的自由と創造の自由を求めて
60年代前半期のころ(「映像芸術の会」結成発足のこと;『稲』、『モノクロームの画家イヴ・クライン』、『ふたりの長距離ランナーの孤独』、『まだ見ぬ街』のこと ほか)
60年代後半期のころ(「杉並シネクラブ」運動への参加;「映像芸術の会」解体;『これがベトナム戦争だ』に対する日共党員の製作妨害を告発したこと ほか)
70年代から80年代へ(『冬の夜の神々の宴―遠山の霜月祭』自主製作のことども;「杉並シネクラブ」解散と「点の会」の発足。;『くずれる沼―画家山下菊二』完成のこと;テレビドキュメント『裸の時代・ポルノ映画―愛のコリーダ』撮影余談;詩集『奈落転々』出版のこと ほか)
80年代のこと(『雪まつり』の自主上映にかかる;第二詩集『暗愚唱歌』を上梓;松阪市の広報映画のシナリオ作成;『日本ドキュメンタリー映画全史』出版;15年間かかった「閑吟集」について ほか)