内容説明
森鴎外から加賀乙彦まで、「いのち」を深く見据えた近現代作家の32作品を素材にして、医療・保健・福祉分野の現状と課題に鋭く肉迫。文学鑑賞と歴史的洞察・哲学的思想とを有機的に融合させた渾身の1冊!!関連年表・索引も充実。
目次
学問は難有いものじゃのう―伝統医術から生物医学へ(森鴎外・作『カズイスチカ』より)
痲酔剤は譫言をいふと申すから―麻酔薬の開発と外科医療の進展(泉鏡花・作『外科室』より)
身は此処に心はもぬけの殻に―封建遺制がもたらす精神病(樋口一葉・作『うつせみ』より)
「学校へゆきますか」「往かない」―障害児教育の光と影(国木田独歩・作『春の鳥』より)
銃が重い 背嚢が重い 脚が重い―明治・大正の国民病「脚気」(田山花袋・作『一兵卒』より)
哲学がそれを謳歌し宗教がそれを讃美し―二人称の事故死(伊藤左千夫・作『奈々子』より)
常でさえ巫女を信じ狐を信ず―科学・迷信・伝染病(石川啄木・作『赤痢』より)
医者は投げ出すように言った―パターナリズム医療の現場から(高浜虚子・作『続俳諧師―文太郎の死』より)
三十分ばかりは死んでいらしったのです―死の「あちら側」と「こちら側」(夏目漱石・作『思い出す事など』より)
己れの精神の病的なのを訝しんで―正常と異常/正統と異端のはざまで(谷崎潤一郎・作『異端者の悲しみ』より)〔ほか〕
著者等紹介
近藤均[コンドウヒトシ]
1954(昭和29)年東京生まれ。東京大学文学部卒業(西洋古典学)。同大学院理学系研究科博士課程満期退学(科学史・科学基礎論)。順天堂大学医学部講師(非常勤、医史学研究室)などを経て、国立大学法人旭川医科大学医学部教授(歴史・哲学)、医学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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