内容説明
ケアが専門職業化・制度化・サービス化するなかでは、同時にケアの質、とりわけそれを支えるケアの思想と教育の質が問われてきます。人は何によってケアに赴くのか、何が人をケアする者として立たせ続けるのか、ケアリング関係はどのようにして深められるのか、そもそもケアは人の幸せにどのように寄与するものなのか、さらに言えば、人は人を本当にケアすることができるのか。こういった根源的な問い直しもまた、広がっていくケアの質を保障するために、必要な仕事だと思います。本書は、このような「ケア」をめぐる問いに、「ホリスティック」にアプローチしてみようとする試みです。
目次
1部 他社とのつながり―ケアリング関係(看護のなかのケアリング―看護者を病床へむかわせるもの;弱さの交差点で―「それでもなお意味がある」;他者と出会うということ―看護学生の臨床経験を通して;ホリスティックな緩和ケア―一人ひとりの心地よさに応えて)
2部 社会とのつながり―ケアの全体性(ケアと持続可能な福祉社会―新たなつながりの原理を求めて;マタニティからのいのちを育むケア―子育てサポートのつながりづくりの実践;保育におけるホリスティックなつながり;ケアする人に必要なケア―バーンアウトを超えて;世界の癒しに向けたケアリング―宇宙中心ソーシャルワークの観点から)
3部 自己とのつながり―ケアの聖性(魂のケア;スピリチュアルケアと「我執性」―自我への執着から離れようとすること悲しみとケア―つながりの自覚から)
結 ホリスティック・ケアの未来へ(ケアの三つの位相とその補完関係―“ひとり”と“みんな”の間の“ふたり”)
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
日本ホリスティック教育協会代表。大阪府立大学人間社会学部教員。NPO法人京田辺シュタイナー学校理事
守屋治代[モリヤハルヨ]
日本ホリスティック教育協会運営委員。看護師・保護師。東京女子医科大学看護学部教員(基礎看護学)。関心は、ホリスティック看護論、ケアリング意識と技。シュタイナー教育・医学や日本の芸道の観点からも模索中
平野慶次[ヒラノヨシツグ]
日本ホリスティック教育協会常任運営委員。現在休止中の「もうひとつの学びの場」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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